27日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比366ドル71セント（1.11%）安の3万2417ドル59セントと3月以来の安値で終えた。
イスラム組織ハマスとの戦闘が激化するイスラエル軍は同日、パレスチナ自治区ガザへの地上作戦を拡大すると表明。リスク回避の動きが広まり、ダウの下げ幅は一時450ドルを超えた。
報道によると、イスラエル軍の報道官は27日、パレスチナ自治区ガザへの地上作戦を「今夜、拡大する」と述べたと伝わった。本格的な地上侵攻が始まることへの懸念が強まり「地政学リスクの高まりを意識した売りが膨らんだ」周辺国の原油供給に悪影響が及ぶとの見方から原油相場が上昇し、米国のインフレ圧力が高まるとの観測が広がったのも相場の重荷だった。
27日にミシガン大学が発表した10月の消費者調査によれば、1年後の予想インフレ率は4.2%と5月以来の高水準となった。米連邦準備理事会（FRB）は来週に米連邦公開市場委員会（FOMC）を開く。原油高とあわせ、金融引き締めが長期化することへの警戒感が意識されやすかった面もある。
ダウ平均の構成銘柄では、石油のシェブロンが7%弱下げた。四半期決算で1株利益が市場予想を下回ったことが嫌気された。金融のJPモルガン・チェースはジェイミー・ダイモン最高経営責任者（CEO）が保有する同社株を一部売却する方針を示し、売り材料視された。
バイオ製薬のアムジェンや通信のベライゾン・コミュニケーションズなどディフェンシブ株の下げも目立った。半面、四半期決算が市場予想を上回った半導体のインテルは大幅高となった。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトといったハイテク株も買われた。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日比47.406ポイント（0.37%）高の1万2643.011で終えた。前日に発表した四半期決算が市場予想以上だったネット通販のアマゾン・ドット・コムが大幅高となった。前日に下げた交流サイトのメタプラットフォームズも買い直され、指数を支えた。
【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は小反発した。12月物は前日比25円高の3万0610円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が上昇し、日経平均先物に買いが及んだ。
米株式市場でダウ工業株30種平均は、
中東情勢の緊迫化が重荷となり、3日続落した。下げ幅を広げたため、上値は重かった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30610 ( -430 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30625 ( -415 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
27日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ63.29ポイント（0.86%）安の7291.28と8月下旬以来、約2カ月ぶりの低水準で終えた。銀行株や医薬品株が下げ、指数の重荷となった。日用品や飲食料品の関連銘柄も下落した。半面、素材株が上昇し、指数を下支えした。
FTSEの構成銘柄では、ナットウエストは27日朝に発表した2023年7～9月期決算の内容を踏まえ、貸出金利と預金金利の差（利ざや）が縮小傾向にあることが嫌気され11.56％安と急落。同業ロイズ・バンキング・グループは3.44％安、エンジニアリング会社ウィアーグループも3.11％安となった。
一方、有害生物管理会社レントキル・イニシャルは3.59％高、産金大手フレスニロは2.96％高、包装資材大手モンディは2.31％高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
27日のドイツ株価指数（DAX）は続落し、前日比43.64ポイント（0.29%）安の1万4687.41で終えた。終値として1月上旬以来の安値を更新した。耐久消費財や素材の関連銘柄が下げ、指数の重荷となった。エネルギー関連銘柄の上昇を支えに、指数は前日終値を上回って推移する場面もあった。
個別では、素材化学大手コベストロが3．41％安、同社は27日、2023年7～9月期の決算発表と同時に23年12月期通期のEBITDA（利払い・税引き・償却前利益）が従来見通しの下限にとどまりそうだと公表した。自動車大手メルセデス・ベンツが2.82％安、航空エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが2.75％安だった。
半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーは9.00％高、医療機器のザルトリウスは3.83％高、自動車部品大手コンチネンタルは1.79％高だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.36％安（週間では0．31％安）だった。
いさえない四半期決算や業績見通しを発表した銘柄を中心に売りが膨らんだ。フランスでは製薬大手サノフィの下落が他のヘルスケア株にも波及した。
