ダウ続落220ドル安、米長期金利の上昇受け

9日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比220ドル33セント(0.64%)安の3万3891ドル94セントで終えた。
 
この日行われた30年物米国債の入札が低調で、需給の緩みへの懸念から長期金利が上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が講演で、追加利上げが適切であれば「ためらわない」と述べたことも、金利上昇を促した。
金融引き締めの長期化観測が改めて意識されたことも、株式相場の重荷となった。
 
米長期金利は4.6%台半ば(前日終値は4.47%)に上昇する場面があった。米財務省が午後に結果を公表した30年物国債入札の結果が「低調」と受け止められ、米国債の需給懸念が強まった。市場では「米株相場は長期金利の動きに敏感に反応する地合いが続いている」との声が聞かれ、金利上昇をきっかけに下げ幅を広げた。
 
パウエル議長は9日午後に国際通貨基金(IMF)のパネル討議に参加した。公開した講演発言草稿では、インフレを2%の目標に戻すために金融政策が十分に景気抑制的な水準に達したか「確信に至っていない」と述べた。インフレ次第では一段の引き締めをためらわない姿勢を示した。市場では「足元で米株相場の連騰が続いた後で、タカ派寄りな発言との受け止めが利益確定売りを誘いやすかった」との見方があった。
 
午前にはダウ平均は小幅に上昇する場面もあった。足元では米景気減速や労働需給の緩和を示す経済指標を受け、FRBによる追加利上げ観測は後退している。9日朝発表の週間の新規失業保険申請件数はダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想をやや下回ったものの、前週分は上方修正された。労働需給の引き締まりへの警戒を高める内容ではないと受け止められた。
 
個別銘柄では、バイオ製薬のアムジェンやホームセンターのホーム・デポ、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスの下げが目立った。このところの相場上昇を支えていたハイテク株も売られ、ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが反落した。
 
半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニーは7%弱上昇した。8日夕発表の2023年7~9月期決算で1株利益が市場予想を上回ったほか、コスト削減の目標額の引き上げが好感された。航空機のボーイングも高い。
 
ナスダック総合株価指数は10営業日ぶりに反落し、前日比128.966ポイント(0.94%)安の1万3521.448で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネットやネット検索のアルファベットが売られた。アナリストが投資判断を「売り」で調査を開始したと伝わった電気自動車のテスラは5%安となった。
 
英半導体設計のアーム・ホールディングスも5%下げた。前日夕に四半期決算と併せて発表した10~12月期の業績見通しが市場予想に届かなかった。
 
 

【シカゴ日本株先物概況】
 

9日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比185円高の3万2515円で引けた。
同日の米株式相場は米長期金利の上昇が重荷となり下落した。もっとも、東京市場で日経平均株価が上昇したため、シカゴ市場での先物買いに波及した。
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
32515 ( -85 )


シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
32535 ( -65 )


( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7455.67(+53.95)
 
9日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日に比べ53.95ポイント(0.72%)高の7455.67で終えた。9日に2023年7~9月期決算発表とあわせて23年12月期通期のコアEPS(実質的な1株利益)などの見通しを引き上げた英製薬大手アストラゼネカの株価上昇が、指数を押し上げた。

一部金融機関が投資判断と目標株価を引き上げたと伝わった日用品大手ユニリーバ株の上昇も、指数を支えた。そのほか素材や資本財、公益事業の関連株にも買いが優勢だった。

FTSEの構成銘柄では8割強が上昇。中古車販売サイトのオートトレーダー・グループは8.47%高と上昇率トップ。蒸気システム大手スパイラックス・サーコが3.99%高、不動産サイト大手ライトムーブが3.90%高と続いた。
 
一方、通期見通しを下方修正した賭け屋大手フラッター・エンターテイメントは10.22%安、小売大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールが3.09%安だった。
 
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15352.54(+122.94)
 
9日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸し、前日比122.94ポイント(0.80%)高の1万5352.54で終えた。終値として10月中旬以来、約1カ月ぶりの高水準となる。素材や不動産株のほか公益事業、IT(情報技術)関連など、幅広い業種で買いが優勢となった。

個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジー(6.30%高)や製薬大手メルク(3.92%高)、日用品大手ヘンケル(3.52%高)と買われた半面、ハノーバー再保険(2.33%安)や航空機大手エアバス(1.96%安)が売られた。

 

 

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7113.66(+79.50)

フランスCAC40種指数は1.13%高だった。企業の好決算を背景に株価が堅調に推移した。

 

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