10日午前の日経平均株価は反落し、前日比196円43銭(0.60%)安の3万2450円03銭で前場を終えた。
前日のNYダウは220ドル安と続落した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演会での発言がタカ派的と受け止められ、米長期金利が上昇し株価は下落した。この米株安を受け、東京株式市場も売り先行の展開となった。ハイテク株などに売りが膨らみ全体相場を押し下げ、日経平均株価は一時400円近い下落となる場面があった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、国際通貨基金(IMF)のイベントで講演し、インフレ次第では一段の引き締めをためらわない姿勢を示した。米長期金利は心理的節目の4.5%を割り込んでいた前日から上昇して4.6%台半ばを付け、株式の売りを促した。
ハイテク株を中心に売りが先行し、9日発表の2023年4~9月期の連結最終損益が大幅赤字だったソフトバンクグループ(SBG)は大幅に下落した。SBGは午前の取引を前日比483円(7.66%)安の5822円で終え、1銘柄で日経平均を100円近く押し下げた。決算結果が市場予想には届かなかったホンダとソニーGにも売りが優勢だった。
前日の日経平均は株価指数オプションとミニ日経平均先物11月物の特別清算指数(SQ)算出を控えた思惑的な買いが主導して500円近く上昇して終えていた。10日寄り付きでSQ算出を通過し、利益確定売りが膨らみやすかった。短期筋の売り一服後は、日経平均は下げ幅を縮小した。株主還元が評価されたトレンドが急伸したほか、商社株の上昇も目立った。
後場の日経平均は引き続きマイナス圏で推移するか。前日同様決算関連の物色が中心となりそうで、決算を素直に好感される銘柄や決算への失望感から急落する銘柄どちらも散見されている。
今後、海外投資家の買い越し額が今後増加するのか注目しておきたい。買い進む材料に乏しい一方で過度に警戒する要因も少なく、米株先物やアジア市況を横目にこう着感の強い値動きが続きそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は8.40ポイント安の2326.72とJPXプライム150指数は反落した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆2412億円、売買高は8億5666万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は981と、全体の約6割だった。値上がりは636、変わらずは42銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)はその他製品、精密機器、輸送用機器などが下落。海運業、水産・農林業、石油・石炭製品などが上昇した。
個別銘柄では、前日に決算を発表したソフトバンクグループやソニーグループが売られ、ホンダも大幅安。トヨタ自動車や日産自動車も下落した。ファストリ、アドテスト、中外薬、リクルートが下落した。神戸製鋼所や任天堂も軟調だった。
半面、東京エレクトロンやディスコが高く、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなど銀行株がしっかり。ネクソン、コムシスHD、セコムが上昇した。川崎汽船や三菱商事も値を上げた。
