21日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比370ドル46セント(1.07%)安の3万4070ドル42セントで終えた。7月10日以来の安値となった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が20日に示した金利見通しでは、2024年の利下げ回数の予測が従来の4回から2回に修正された。金利が高い水準のまま維持される観測が強まり、米長期金利が大幅に上昇。株式市場はこの日ほぼ全面安の展開となった。
日系大手証券の担当者は「米金利が長期的に高止まりすることが見込まれる中、主要株価指数はしばらく上がりづらい状況が続くだろう」と指摘。ただ、「来年の景気やインフレがどうなるかまだ分からない。結局は利下げ回数が2回より多くなる可能性もある」とも述べた。
市場では「株投資家は高水準の政策金利が長く続くことを意識した売りに動いた」との声が出ていた。
21日朝発表の週間の新規失業保険申請件数は20万1000件とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万5000件)を下回り、1月以来の低水準となった。米労働市場は依然として引き締まっているとの見方が広がり、FRBによる金融引き締めの長期化観測を強めた。米債券市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)し、一時前日比0.08%高い4.49%と07年11月以来の高水準を付けた。
金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株の一角が売られ、顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが下げた。
金融引き締めの長期化に伴う先行きの景気悪化への懸念もくすぶり、景気敏感株や消費関連株も売られた。化学のダウや建機のキャタピラー、スポーツ用品のナイキ、クレジットカードのビザが安い。ソフトウエア会社の買収を発表したネットワーク機器のシスコシステムズの下げも目立った。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比245.143ポイント(1.82%)安の1万3223.985で終えた。3カ月半ぶりの安値。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベット、電気自動車のテスラなど主力株が売られた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株の一角も安い。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比765円安の3万2030円で終えた。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長く続けるとの観測が強まった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7678.62(-53.03)
21日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日に比べ53.03ポイント(0.68%)安の7678.62で引けた。英イングランド銀行(中央銀行)は同日、利上げを見送ると発表した。ただ、株式市場では政策金利が高い水準で維持される可能性も意識され、投資家心理の重荷となった。
英中銀は21日、政策金利を5.25%に据え置くと発表した。2021年12月以降利上げを続けてきたが、15会合ぶりに利上げを見送った。
声明ではインフレ率が目先は一段と鈍化するとの見通しを示した。だが同時に、サービス価格には上昇圧力が残ると言及するなど、根強いインフレ圧力の動向を引き続き注視する姿勢を示した。
FTSEの構成銘柄では、株価見通しの引き下げを受け、オンライン食品販売大手オカド・グループが19.87%安と急落。賭け屋大手フラッター・エンターテインメントは3.49%安、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルも3.46%安となった。
一方、小売り大手JDスポーツ・ファッションは8.99%高、衣料小売りのネクストは3.43%高、医療機器のコンバテックは3.15%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15571.86(-209.73)
21日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比209.73ポイント(1.32%)安の1万5571.86で終えた。英イングランド銀行(中央銀行)や米連邦準備理事会(FRB)などが利上げ見送りを発表したものの、インフレ再燃を警戒して各国中銀が政策金利を高い水準で維持する可能性が意識されている。米長期金利の上昇を背景に米国株が軟調に推移し、欧州株の売りにつながった面もある。
個別では、化学大手BASFが4.86%安、医療機器のザルトリウスが4.17%安、航空機大手エアバスが3.27%安と売られた半面、ハノーバー再保険は0.90%高、コメルツ銀行は0.50%高、ミュンヘン再保険は0.32%高で引けた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7213.90(-116.89)
フランスCAC40種指数は1.59%安だった。
欧州債利回りが上昇。金利に敏感なハイテク株や不動産株を中心に幅広い銘柄に売りが出た。
