2日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前週末比74ドル15セント(0.22%)安の3万3433ドル35セントと、約4カ月ぶりの安値で終えた。
足元の米景気の底堅さなどから米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測が強まった。米長期金利が一時、約16年ぶりの高水準を付け、高金利が米景気を悪化させるとの見方が株式相場の重荷となった。
米議会上下院は9月30日、11月半ばまでのつなぎ予算案を賛成多数で可決。バイデン米大統領の署名を経て法が成立した。一部政府機関が閉鎖され、雇用統計など重要指標の発表が遅れ、景気に関する不透明感が増すとの懸念が後退。取引序盤のダウはマイナス圏で推移したものの、底堅く推移した。
2日の米債券市場で長期金利が一時前週末比0.13%高い4.70%と2007年10月以来の水準に上昇した。
午前に発表された米サプライ管理協会(ISM)の9月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)は前月実績から上昇し、市場予想も上回る内容。同統計を受けて金融引き締め長期化を巡る懸念が意識される中、地合いが悪化し、ダウの下げ幅は一時250ドルを超えた。
9月30日夜に11月半ばまでの米連邦政府のつなぎ予算が成立し、米政府の一部機関の閉鎖は回避された。ただ、2024会計年度の本予算は成立しておらず、財政の方針を巡る与野党の隔たりも大きい。米議会や財政運営への不透明感は残り、つなぎ予算の成立を材料とした買いは限られた。政府閉鎖が回避され、市場では「FRBが11月の利上げに動きやすくなった」との声もあった。
米長期金利の上昇基調が強まった場面で売りが勢いづいた。半面、引けにかけては下げ渋った。今週は6日の9月の雇用統計などFRBが政策運営で重視する指標の発表が相次ぐ。米景気や雇用の現状を見極めたい市場参加者が多かった。
ダウ平均では工業製品・事務用品のスリーエムや航空機のボーイングなど景気敏感株への売りが目立った。金融のゴールドマン・サックスや石油のシェブロンなども下落した。一方、9月下旬の下げがきつかったスマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株の一角には買いが入った。
ナスダック総合株価指数は4日続伸し、前週末比88.451ポイント(0.66%)高の1万3307.773で終えた。ゴールドマン・サックスが最も買いを推奨する「コンビクション・リスト」に追加した画像処理半導体のエヌビディアが高い。ネット検索のアルファベット(グーグル)の上げも目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前週末比215円安の3万1610円で終えた。米長期金利の先高観から同日の米株式市場でダウ工業株30種平均は、米金融引き締め長期化を巡る懸念が根強い中、続落した。
東京株式市場でも日経平均株価が下落。投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方からシカゴ市場で先物は売り優勢となった。
シカゴ日経225先物12月限(円建て)
31610 ( -210 )
シカゴ日経225先物12月限(ドル建て)
31640 ( -180 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7510.72(-97.36)
2日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前週末に比べ97.36ポイント(1.27%)安の7510.72で引けた。このところ上昇基調にあった原油先物相場が、2日は利益確定の動きも出て前週末比1%を超えて下落し、エネルギー関連の銘柄に売りが目立った。米欧の金利上昇も投資家心理を圧迫した。
世界銀行が東アジア・太平洋地域の経済見通しを更新し、中国の2024年の成長率見通しを4.4%と従来の4.8%から下方修正した。中国経済の先行き不透明感が改めて意識されたのも、株価を下押しする一因となった。
FTSEの構成銘柄では、保険大手ビーズリーが3.79%安、エネルギー大手SSEが3.57%安、金融大手ナットウエストが3m39%安。一方、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは1.35%高、航空・防衛大手BAEシステムズは1.12%高、賭け屋大手エンテインは0.88%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15247.21(-139.37)
2日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落し、前週末比139.37ポイント(0.90%)安の1万5247.21で終えた。2日発表された9月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)確定値は43.4だった。速報値から変わらず市場予想とも一致したものの、引き続き好不況の分かれ目とされる50を下回る水準にとどまったことなどが株価の重荷となった。
ドイツなどの国債利回りが上昇したのも、投資家心理を冷やした。公益やエネルギー、金融をはじめ、幅広い銘柄が売られた。
個別では、ヘルスケアのフレゼニウスが3.60%安、ドイツ銀行が3.20%安、電力大手RWEが3.16%安と売られた半面、通販大手ザランドは2.27%高、自動車部品大手コンチネンタルは0.72%高、高級車メーカーのポルシェは0.63%高だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7068.16(-66.90)
フランスCAC40種指数は0.94%安だった。
金利の高止まりによる景気悪化懸念から幅広い銘柄に売りが出て、マイナス圏で取引を終えた。
