続伸、米金利低下が支え、戻り一服も意識

11日午前の日経平均株価は続伸し、前日比170円95銭(0.54%)高の3万1917円48銭で前場を終えた。
前日のリスクオン相場を引き継ぐ形で、日経平均株価は強調展開を続けた。中東情勢の影響は限定的で前日の欧米株市場が総じて高くなり、原油先物価格も上昇一服となったことで、センチメントが引き続き強気優勢に傾いている。ただ、日本時間今晩に発表予定の9月の米PPIや、あすに発表が予定される米CPIなどを前に上値追いに慎重な部分もあり、3万2000円大台に接近する場面では戻り売りに押し返される展開となっている。
 
米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が好調に推移し、東京市場ではエレクやレーザーテクなど半導体関連の値がさ株が買われ全体指数に押し上げ効果をもたらしている。韓国の半導体大手サムスン電子が11日発表した7~9月期決算速報値が前四半期比で堅調だったことが追い風になったとの声も聞かれた。一方、商社や海運、機械セクターなどに軟調な銘柄が目立ち、業種別では値下がり業種の多さが顕著だ。個別銘柄もプライム市場全体の7割近くが下落している。なお、TOPIXは小幅ながらマイナス圏で着地している。
 
ただ日経平均は節目の3万2000円に近づくと伸び悩んだ。国内株式相場の重荷だった米長期金利の動向については依然として不透明感は根強いとの見方も多い。前日の日経平均が今年最大の上げ幅を記録したため、高値圏では戻り待ちの売りが出やすかった面もある。前日に上げが目立った海運株には売りが出た。
 
日経平均は3万2000円近くまで上昇してきたことで戻り一服感なども意識されやすいところ。3万2000円は累積売買代金からみて商いが最も集中している価格帯で、この水準では戻り待ちの売りも出やすくなってくる。また、東京証券取引所が公表している空売り比率(規制あり・規制なし合計)は6日の43.3%から10日には38.0%まで低下。過去の推移をみてもボトム圏に近い水準にまで低下しており、ここからの一段の株価上昇には追加材料が必要だろう
 
市場では「今週末13日のSQ(特別清算指数)値の算出を控え、様子見姿勢が強まる場面もありそう」との声が聞かれた。
 
イスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃を発端とした中東情勢の混乱についても、今のところは相場への影響は限定的だが、今後の動向次第ではイランに対する原油輸出規制の強化や石油輸送海路の遮断などのリスク要素がくすぶる。原油市況が左右する米長期金利への影響も注視する必要があろう。目先は短期強含みも、中長期ではまだ楽観には傾きにくい状況が当面続きそうだ。

 


東証株価指数(TOPIX)は0.95ポイント安の2311.24と小反落した。JPXプライム150指数は小幅に続伸し、前引け時点で0.16ポイント(0.02%)高の1009.64だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6123億円、売買高は6億1693万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は502と、全体の3割弱にとどまった。値下がりは1264銘柄、横ばいは70銘柄だった。
 
 
業種別株価指数(33業種)では輸送用機器、精密機器、空運業などが上昇した。下落は海運業、鉄鋼など。
 
個別では、きょうも突出した売買代金をこなしたレーザーテックが大幅高に買われたほか、東京エレクトロンやアドバンテストなども堅調。KDDIやトヨタ自動車がしっかり、ファストリやソフトバンクグループ(SBG)も買いが優勢となっている。リズムが値上がり率トップに買われ、スクロールの上げも目立つ。
 
半面、NTTデータや安川電が安い。川崎汽船が大きく利食われたほか、日本製鉄も軟調。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも冴えない。日本ケミコンが急落、MonotaRO、タマホームなども大幅安となった。トレンドやSMCも売られた。
 
 

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