小幅反発39ドル、景気先行きに懸念

13日のNYダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比39ドル15セント(0.11%)高の3万3670ドル29セントで終えた。朝発表の四半期決算が好感された金融株などを中心に買いが入った。一方、中東情勢を巡る緊張が一段と高まっており、株式相場全体の重荷となった。

 
この日発表されたJPモルガン・チェースなど米金融大手の堅調な決算が相場を支え、ダウの上げ幅は一時300ドルを超えた。ところが、米ミシガン大が公表した消費者調査の内容悪化や、中東情勢への懸念も相まって、ダウはマイナス圏に沈む場面もあった。ナスダックも序盤から下げ幅を拡大した。
 
 
決算を開示した銀行のトップからは、米経済の先行きを警戒する発言が相次いだ。JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は、底堅い労働市場などが「インフレを高止まりさせ、さらなる金利上昇を招くリスクがある」と指摘。シティグループのフレーザーCEOは「支出が減速しており、消費者の警戒感が高まっている」との見解を示した。
 
医療保険のユナイテッドヘルス・グループも3%弱高で終え、指数全体を91ドル押し上げた。朝発表した7~9月期決算は増収増益となり、売上高と1株利益がいずれも市場予想を上回った。ダウ平均は上げ幅が300ドル超となる場面があった。
 
半面、中東情勢の緊迫化は株式相場の重荷となった。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が激化することへの懸念は根強い。積極的な運用するリスクを回避しようと、相対的に安全資産とされる米国債や金に資金を移す動きもみられた。
 
原油価格の大幅な上昇で、インフレが再燃するとの懸念も株売りを誘った。ミシガン大が13日発表した消費者態度指数(速報値)は63.0と前月(68.1)から悪化。1年先の予想インフレ率は3.8%と前月(3.2%)から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。「様々な不安が市場を取り巻いている」との声が聞かれた。ハイテク株を中心に売りが出やすく、ダウ平均は下落に転じる場面があった。
 
個別では、外食のマクドナルドや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが買われた。石油のシェブロンも高かった。半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニーと航空機のボーイングは下落。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルといったハイテク株も安かった。
 
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比166.985ポイント(1.23%)安の1万3407.234で終えた。電気自動車(EV)のテスラや画像処理半導体のエヌビディアが下落。アナリストの投資判断引き下げが伝わった動画配信のネットフリックスも売られた。
 
 

【シカゴ日本株先物概況】

13日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比385円安の3万1885円で引けた。
NYダウは、米経済指標で景気の先行きに対する懸念が浮上する中、小幅反発した。
中東情勢を巡る緊張が一段と高まり、リスク回避姿勢を強めた投資家が日経平均先物に売りを出した。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
31885 ( -365 )

シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
31910 ( -340 )
※( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

13日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日に比べ45.18ポイント(0.59%)安の7599.60で引けた。原油先物相場の大幅上昇を背景に、根強いインフレ圧力や英国の政策金利が高止まりする可能性が意識され、株式相場の重荷となった。
飲食料品・たばこ、製薬、金融を中心に、エネルギーと公益を除く幅広い業種で売りが優勢となった。英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は前日比3.5%安で終えた。米食品医薬品局(FDA)が12日、BATの米国子会社が提供する一部製品の販売を認めない判断を示したことが材料となった。
FTSEの構成銘柄では、セント・ジェームズ・プレイスは21.79%安と大きく売られたほか、オンライン食品販売大手オカド・グループが7.24%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションが4.80%安だった。産金大手エンデバー・マイニング(4.54%高)や産金大手フレスニロ(4.39%高)は買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

13日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比238.37ポイント(1.54%)安の1万5186.66で終えた。原油先物相場の大幅上昇などを背景にインフレ圧力の根強さと金利水準が高止まりする可能性が意識され、株式相場の重荷となった。ヘルスケアや金融、IT(情報技術)関連株が下げたほか、エアバスなど資本財株の一角にも売りが出た。
DAX構成銘柄は8割以上が下落。中でも、製薬大手サルトリアスが13.28%の大幅安だったほか、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.46%安、製薬大手メルクが3.22%安と続いた。一方、エネルギー大手イーオンは1.11%安、香料大手シムライズは0.54%安だった。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.42%安(週間で0.08%高)だった。
中東情勢の緊迫化による世界市場全体のリスク回避の動きを受けて、株式市場は低迷した。

 

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