15日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比361ドル24セント(1.0%)安の3万4946ドル39セントで終えた。中国が発表した小売売上高などの経済指標は、伸びが前月から鈍化し、市場予想を下回った。景気減速懸念から、エネルギー株などが売られた。
15日発表の中国の7月の工業生産高などの経済指標が軒並み市場予想を下回った。同日には中国人民銀行(中央銀行)が期間1年の中期貸出制度(MLF)金利を引き下げた。中国の不動産大手の経営不安も浮上しており、同国経済の先行き不透明感が高まった。
中国など海外の売上高比率が高い銘柄が売られやすく、ダウ平均の構成銘柄では化学のダウが3%安、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が2%安となった。中国の原油需要が伸び悩むとの観測から米原油先物相場が下落。原油安が業績の逆風になるとみて、石油のシェブロンと建機のキャタピラーも下げが目立った。
米金融株が軒並み売られたことも、投資家心理を悪化させた。
格付け大手フィッチ・レーティングスが、米銀大手のJPモルガン・チェースを含む約70行の信用格付け引き下げの可能性を警告したことから、JPモルガンが2.6%安、ゴールドマン・サックスが1.6%安と銀行株が軒並み下がった。
フィッチのアナリストは15日、CNBCテレビのインタビューで、銀行業界の事業環境に関する評価を「ダブルAマイナス」から「Aプラス」に下げた場合、70行の評価を見直さざるを得ないと指摘した。米利上げの先行きが不透明で事業環境を圧迫しかねないことなどを理由に、6月には「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に引き下げていた。
米長期金利の指標である10年債利回りが一時前日比0.08%高い(債券価格は安い)4.27%と昨年10月以来の高水準を付けた。朝方発表の7月の米小売売上高は前月比0.7%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.4%増)を上回った。市場では「良いニュースは(米追加利上げ観測を強める)悪いニュースとして受け止められる局面だ」との声も聞かれた。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は15日、インフレは依然として高水準との認識を示し「(利上げが)終わったとはまだ言えない」と話したと伝わった。金融引き締めの長期化観測も株売りにつながった。
一方、朝方発表した5~7月期決算が市場予想を上回ったホームセンターのホーム・デポは買われた。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比157.284ポイント(1.1%)安の1万3631.047で終えた。電気自動車のテスラは3%、ネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%下げた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットも安い。半面、複数のアナリストが目標株価を引き上げた画像処理半導体のエヌビディアは上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比355円安の3万1940円で終えた。中国景気の減速懸念や米金融機関の格下げ観測などが嫌気されて同日の米株式相場が下落した。投資家心理が悪化し、日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
