反落、一時450円超安 米株安や中国懸念で

 

 
16日午前の日経平均株価は反落し、前日比332円64銭(1.03%)安の3万1906円25銭で前場を終えた。
前日の欧米株が全面安だったことを受け投資家心理が悪化、朝方からリスク回避目的の売りがかさみ、日経平均はフシ目の3万2000円台を割り込んだ。下げ幅は一時450円を超えた。中国の景気減速への警戒感が拭えず、きょうも中国・上海株や香港株が下げ止まらない展開となっていることもあって、買い手控えムードが強い。米国では大手を含めた広範囲にわたる銀行格下げの可能性が報じられ、これがネガティブ視されている。東京株式市場でも金融セクターへの売りが目立ち、全体の地合いを悪くしている。
 
格付け会社フィッチ・レーティングスは15日、米CNBCの番組で米銀大手を含む70行以上を格下げする可能性があると明らかにした。金利高が長引き、銀行の資金調達コストが上がることで収益が悪化すると見込むためで、米株式市場で銀行株が売られる要因となった。16日の東京株式市場では三菱UFJや三井住友FGなどに売りが波及し、投資家心理の冷え込みにつながった。
 
中国国家統計局が16日発表した7月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落した都市が全体の70%にあたる49都市に拡大した。前日に発表された中国の経済指標に続いて中国景気の悪化を示唆したとあって、中国関連株の一角に売りが出やすかったことも日経平均を下押しした。
 
中国経済の予想以上の低迷で製造業を中心とした企業業績への悪影響が懸念される一方、日本の製造業にはさほど恩恵のないサービス業を中心とした内需主導の米国経済の堅調さを背景に、米長期実質金利の高値更新が続いている。景気敏感株もハイテク・グロース株も買いにくい非常に厳しい地合いになってきたといえ、商いが細くなりがちな8月相場の後半は下方向に振れ幅が大きくなりやすい環境になってきた恐れがある。
 
投資戦略を立てるのが難しい局面になってきたが、米長期金利の先高観がくすぶるなか、ハイテク・グロースよりはバリュー(割安)株が相対的に優位と考えられる。また、バリュー株のなかでも、資源価格の下落が直接的に業績にマイナス影響を及ばさない銘柄などがより好ましいだろう。
 

 



東証株価指数(TOPIX)は20.71ポイント安の2269.60と反落した。JPXプライム150指数は反落し、前引け時点で7.66ポイント(0.75%)安の1019.17だった。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6371億円、売買高は6億6590万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1331と、全体の約7割を占めた。値上がりは441銘柄、変わらずは62銘柄だった。
 
業種別株価指数(33業種)は石油・石炭製品、鉱業、銀行業、鉄鋼業、海運業、卸売業などが下落した。上昇は建設業、電気・ガス業など。
 
 
個別ではレーザーテック、ソフトバンクグループ(SBG)、ダイキンなどが値を下げ、三菱商事も売られた。トヨタ自動車も冴えない。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクの下げも目立つ。銀行株はフィッチの一部米銀の格下げ警告が影響しているもよう。ゼンショーホールディングスは大幅安。ダイコク電機、円谷フィールズホールディングスが急落、力の源ホールディングスも大きく利食われた。
太陽誘電、ニデック、TDK、安川電のハイテク、JMDC、Sansan、MonotaROなどのグロース(成長)株も総じて下落。第一生命HDは国内証券のレーティング格下げが嫌気された。
 
半面、アドバンテスト、ディスコが高く、アステラスや資生堂が買われた。メドレー、ギフティが大幅高。河西工業が物色人気、アトラエも値を飛ばした。著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが大手住宅メーカーのDRホートンやレナーなどの株式を新規に取得したことが思惑を強めているようだ。富士製薬は共同開発医薬品の製造販売承認の取得を手掛かりに急伸。ほか、鹿島、大成建設、大林組など建設の堅調さが目立つ。

 

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