18日午前の日経平均株価は小幅に続落した。前日比60円79銭(0.19%)安の3万1565円21銭で終えた。
前日のNYダウは米長期金利の上昇などが警戒され290ドル安と3日続落した。また、この日の早朝には中国不動産大手、恒大集団が米国で破産申請をしたと伝わった。これを受け、日経平均株価は一時350円安と大幅な下落となった。しかし、売り一巡後は下げ渋り、午前11時過ぎには一時プラス圏に浮上する場面があった。中国・上海総合指数は値を上げて取引が始まったほか、米アプライド・マテリアルズの決算が良好だったことから半導体関連株が上昇したことも安心感を呼んだ。
17日の米債券市場では米長期金利が一時4.32%と2022年10月以来の高水準に上昇し、前日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって下落した。米株安の流れを引き継ぎ、東京市場でも幅広い銘柄に売りが先行し、日経平均は寄り付き直後に350円ほど下げる場面があった。「経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団が17日、ニューヨークで破産を申請した」と伝わり、中国景気の先行きが警戒されたことも売りにつながった。
ただ、18日の中国・上海株式相場が続伸して始まると、日本市場でも株価指数先物への買い戻しの動きが優勢となった。日経平均は小幅ながら上げに転じる場面があった。
日本の10年物国債利回りも今週は再び上昇が続いていたが、本日は低下している。本日寄り付き前に発表された7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大し、1981年以来の高水準を記録した5月分と並んだ。ただ、市場予想と一致し、上振れとはならなかったこともあり、国内長期金利への上昇圧力にはなっていない。
日米長期金利の上昇一服は目先の安心感として、本日、前場の東京株式市場の買い戻しなどに寄与しているのかもしれないが、来週は国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言次第では日米の長期金利の上昇基調が再開する可能性もあり、株式市場がここで下げ止まったと判断するのは時期尚早だろう。
足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えたい。仮に買うにしても、今はまだ打診買いにとどめて余力は十分に残し、また、追証などのペナルティが発生しない現物投資に限った方がよいだろう。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆4145億円、売買高は5億6358万株だった。東証株価指数(TOPIX)は9.50ポイント安の2243.56と続落して午前の取引を終えた。東証プライムの値下がり銘柄数は1231、値上がりは519銘柄、変わらずは84銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は電気・ガス業、小売業、医薬品、建設業などが下落。上昇は海運業、鉱業など。
個別銘柄では、ファーストリテイリングやダイキン工業、トヨタ自動車が安く、三菱UFJフィナンシャル・グループやゼンショーホールディングスが下落した。安川電など中国関連とされる銘柄の一角が下落した。三越伊勢丹、小田急などのインバウンド(訪日外国人)関連の下げが目立った。
半面、レーザーテックやアドバンテスト、東京エレクトロンが高く、ソフトバンクグループや三菱商事、三菱重工業が値を上げた。
厚生労働省がジェネリック医薬品について金額ベースの普及目標を新設するとの報道を受け、東和薬品、サワイGHDが大きく上昇。証券会社のレーティング格上げを材料に住友理工、クラレなども大幅高となっている。
