28日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比213ドル08セント(0.6%)高の3万4559ドル98セントで終えた。
25日に講演したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融引き締めを継続する姿勢を示しつつも、政策判断に踏み込んだ発言をせず、追加利上げへの過度な警戒が和らいだ。米長期金利の上昇一服や中国の資本市場活性化策も米株式相場の支えとなった。
中国当局がこの日から導入した株式取引に課す印紙税の引き下げ措置に好感が広がり、中国関連銘柄が欧州株式相場を押し上げた。この流れを引き継いだダウも寄り付きから上昇し、航空機大手ボーイングなど景気敏感株が買われた。
一方、8月の米雇用統計など経済指標の公表を控える中、様子見姿勢が強まり、その後ダウの上昇幅は縮まった。
パウエルFRB議長は25日の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)の講演で、「適切ならば追加利上げの用意がある」としつつ、今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げするかの政策判断は「慎重に進める」と述べた。最終的に利上げに踏み切るかは米景気次第ではあるものの、「市場の一部で、追加利上げの可能性が低いと受け止められた」という。注目イベントを通過したことで買い安心感が広がった面もあった。
米債券市場で長期金利の指標である米10年債利回りが4.2%前後と、前週末終値(4.23%)を下回って推移する場面が目立った。長期金利は前週に4.36%と2007年11月以来の高水準を付けていた。株式の相対的な割高感が強まる長期金利の上昇に歯止めがかかっていることが好感された。
ダウ平均では軍需用耳栓に関連した訴訟で和解する方向と伝わった工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が5%あまり上昇した。資産運用・管理などを手掛ける個人向け事業の売却で合意したと伝わった金融のゴールドマン・サックスも2%近く上げた。2銘柄でダウ平均を70ドルあまり押し上げた。
航空機のボーイングや化学のダウなどの景気敏感株も買われた。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルなどハイテク株も高かった。
一方、医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンや製薬のメルクなどディフェンシブ株には売りが目立った。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比114.485ポイント(0.8%)高の1万3705.131で終えた。画像処理半導体のエヌビディアや半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーなどが高い。交流サイトのメタプラットフォームズも上げた。
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前週末比420円高の3万2280円で引けた。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げに対する過度な警戒が後退。同日は主要な米株価指数がそろって上昇し、日経平均先物にも買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32280 ( +110 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32290 ( +120 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 休場
英市場はバンクホリデーのため休場だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15792.61(+160.79)
28日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。前週末に比べ160.790ポイント(1.03%)高の1万5792.61で終えた。中国が資本市場の活性化策など景気刺激策を相次いで発表し、同国の景気悪化への歯止めがかかるとの観測から、資本財や金融、消費財といった景気敏感銘柄を中心に買いが入った。
25日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演では、金融引き締めを続ける姿勢を示しながらも、政策判断に踏み込んだ発言をしなかった。リスク回避の姿勢が和らいだことも引き続き投資家心理を支えた。個別では、コメルツ銀行とドイツ銀行がともに2%超上げた。
個別では、構成銘柄のほとんどが上昇。コメルツ銀行は2.46%高、通販大手ザランドは2.42%高、ドイツ銀行は2.38%高とそれぞれ買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7324.71(+95.11)
フランスCAC40種指数は1.32%高だった。
中国の資本市場活性化に向けた支援策を好感したアジア株高を受け、堅調に推移した。
