4日続伸37ドル高、利上げ長期化観測が後退

30日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比37ドル57セント(0.1%)高の3万4890ドル24セントで終えた。
同日朝発表の米経済指標が労働市場の過熱感の緩和を示した。米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が一段と後退し、株買いを誘った。半面、ダウ平均は前日までの3営業日で750ドルあまり上昇した後で、主力銘柄には持ち高調整売りが出やすく、小幅に下げる場面があった。

米民間雇用会社ADPがこの日発表した8月の全米雇用報告は、非農業部門の就業者数の増加幅が前月から半減し、予想も下回った。
リポートでは非農業部門の雇用者数は前月に比べ17万7000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(20万人増)を下回った。労働需給の軟化を示す内容との受け止めが広がった。

2023年4~6月期の実質GDP(国内総生産)の改定値も前期比2.1%増と、速報値(2.4%増)から低下。いずれも景気減速を示唆する内容だったため、「来年前半にも利下げ局面に入る」との見方が相場を支えた。

米債券市場では長期金利が低下(債券価格が上昇)し、一時は前日に比べ0.04%低い4.08%となった。金利の低下で株式の相対的な割高感が薄れ、高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に買いが入った。ダウ平均は170ドルあまり上昇し、3万5000ドル台に乗せる場面があった。

買い一巡後はダウ平均が一時、下落に転じた。持ち高調整や利益確定の売りに押された。31日には7月の米個人消費支出(PCE)、9月1日には8月の雇用統計の発表がある。いずれもFRBが重視する経済指標とあって、内容を見極めたいとの雰囲気が出やすかった。市場には「商いが薄く、株式相場の方向感が定まりにくかった」(ワシントン・クロッシング・アドバイザーズのチャド・モーガンランダー氏)と見方があった。

個別では、スマートフォンのアップル、ホームセンターのホーム・デポ、建機のキャタピラーが上昇。航空機のボーイングと半導体のインテルも高かった。半面、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、バイオ製薬のアムジェン、金融のゴールドマン・サックスが下落した。

ナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比75.554ポイント(0.5%)高の1万4019.311と、およそ1カ月ぶりの高値で終えた。半導体のエヌビディア、ネット検索のアルファベットなどが買われた。

NYダウ 34890.24 ( +37.57 )
S&P500 4514.87 ( +17.24 )
NASDAQ 14019.31 ( +75.55 )
米10年債利回り 4.111 ( -0.006 )

NY(WTI)原油 81.63 ( +0.47 )
NY金 1973.0 ( +7.9 )
VIX指数 13.88 ( -0.57 )

 


【シカゴ日本株先物概況】

30日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比30円安の3万2390円で終えた。
雇用情勢の悪化などを示す経済指標を受け、金融引き締めの長期化観測が後退し、米株式相場が上昇したが、日経平均先物への影響は限られた。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32390 ( +110 )

シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32395 ( +115 )

( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7473.67(+8.68)

30日のFTSE100種総合株価指数は小幅に6日続伸した。前日に比べ8.68ポイント(0.12%)高の7473.67で取引を終えた。30日発表の2023年1~6月期業績が好調だった保険のプルデンシャルが上昇するなど、保険セクターの一角が買われた。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化観測が薄らいだのも、英株式相場の支えとなった。

FTSEの構成銘柄では、住宅大手パーシモンが2.26%高、産金大手フレスニロが2.21%高、住宅大手テイラー・ウィンペイが1.95%高だった。
一方、ホームセンター大手キングフィッシャーは2.37%安、通信大手BTグループは1.64%安、保険会社ヒスコックスは1.30%安となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15891.93(-38.95)

30日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ38.95ポイント(0.24%)安の1万5891.93で取引を終えた。デンマークの風力発電会社が29日夜、米国事業において供給遅延や金利上昇などで大幅な減損が発生する可能性があると発表し、30日に株価が急落した。再生可能エネルギー大手のRWEや風力発電機を手掛けるシーメンス・エナジーなどに連想売りが出て、DAX指数を押し下げた。

個別では、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが2.60%高、医療機器のザルトリウスが1.17%高、化学品商社ブレンタークが1.12%高と買われた半面、電力大手RWEは4.71%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーは3.34%安、高級車メーカーのポルシェは1.61%安で引けた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7364.40(-9.03)

フランスCAC40種指数は0.12%安だった。
欧州中央銀行(ECB)の追加利上げ観測が強まる中、ユーロ圏の債券利回りが上昇し、株価の重しとなった。

 

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