31日午前の日経平均株価は続伸し、前日比183円77銭(0.57%)高の3万2517円23銭で終えた。
きょう前場はリスク選好の地合いが続いた。前日の米国株市場では追加利上げに対する警戒感が後退し、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに上昇したことを受け、市場センチメントが強気に傾いた。軟調な米雇用指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が後退し、米長期金利が低下したことが株式相場の追い風となった。自動車株や鉄道株などバリュー株中心に買いが目立つ。米株市場の地合いを引き継いで半導体関連も堅調な推移をみせ全体を押し上げている。日経平均は朝高後に伸び悩む場面もあったが、その後は再び買い戻され前場の高値圏で引けている。プライム市場の約7割の銘柄が上昇した。
午前に発表された中国の経済指標は市場の想定より良好で相場を下支えした。上げ幅は一時200円を超えた。
リクルート、ZHDなどのグロース(成長)株の一角が上げたほか、自動車生産の回復期待からトヨタが2%超上げた。鉄道株などのインバウンド(訪日外国人)関連にも買いが目立った。
中国国家統計局などが午前に発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と前月から0.4ポイント上昇し、市場予想(49.1)も上回った。中国景気の先行き懸念が和らぎ、発表後に日経平均は上げ幅を広げた。
株式市場について明るい材料がまた一つ増えた。30日に発表された米8月ADP全米雇用リポートの民間雇用者数は17万7000人増と、市場予想の19万5000人増を下回った。前月7分は37万1000人増と、従来値の32万4000人増から上方修正されたが、市場予想に対する下振れに加えて、前月からの大幅な鈍化が確認されたことはポジティブだ。また、同調査によると、同じ職にとどまった労働者の賃金は前年同月比で5.9%増と、2021年以来の低い伸びだったという。
29日に米労働省が発表した雇用動態調査(JOLTS)の求人件数も予想を下回り、自発的な離職件数は21年2月以来の低水準だった。逼迫していた米労働市場の緩和が連日にわたってデータで実際に確認できたことは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了の期待を高めることにつながり、相場の支援材料になっている。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆3388億円、売買高は5億3793万株だった。東証株価指数(TOPIX)も続伸した。JPXプライム150指数も続伸し、午前は前日比5.48ポイント(0.53%)高の1034.99で終えた。東証プライムの値上がり銘柄数は1272、値下がりは471銘柄、変わらずは91銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は輸送用機器、陸運業、サービス業、不動産業、金属製品などが上昇。下落は証券・商品先物取引業など。
個別では、レーザーテックが堅調、売買代金2位に食い込んだトヨタ自動車も上昇した。アドバンテスト、東京エレクトロン、ソニーグループなどハイテクセクターの主力銘柄が買われているほか、ファストリ、小田急、三菱商事、オリエンタルランドなども高い。ダイコク電機はストップ高だった。内需系銘柄で上昇が目立つ。カルビー、牧野フライス、サワイGHDはレーティング格上げが好感された。いちごは自社株買いが、テラスカイは米セールスフォースの好決算が手掛かり材料とされた。
半面、キーエンスが冴えず、三菱重工業も軟調。芝浦メカトロニクスも利食われた。サニーサイドアップグループが急落、ファナック、キーエンスも安い。住友ファーマは証券会社の目標株価引き下げが嫌気されて大きく下げた。工場でボイラー事故が発生した三菱製紙は大幅安となっている。
