115ドル高、雇用統計受け引き締め長期化後退

1日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比115ドル80セント(0.3%)高の3万4837ドル71セントで終えた。

朝発表の8月の雇用統計では失業率が市場予想に反して前月から上昇した。労働需給の緩和を背景に、米金融引き締め長期化への過度な警戒が和らぎ、買いが入った。半面、米債券市場で長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことが重荷となった。

8月の雇用統計によれば、失業率は前月から悪化して3.8%と、2022年2月以来の高水準を記録。平均時給の前月比の伸び率は市場予想を下回った。

景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比18万7000人増と、前月実績と市場予想を上回った。ただ、6、7両月分が下方修正されており、労働市場の需給逼迫(ひっぱく)緩和を示す内容と受け止められ、追加利上げ観測が後退した。

 

ダウは雇用統計を好感して取引序盤から堅調に推移。米長期金利の上昇がハイテク株などの上値を抑えたものの、終日底堅い展開が続いた。一時は上げ幅が250ドルを超えた。

ただ、上値は重く、下げに転じる場面もあった。クリーブランド連銀のメスター総裁は1日の講演で失業率の低さに言及したほか、「労働市場は需給がより均衡してきたが、依然として強い」と指摘した。インフレ率については「高すぎる」との認識を示し、FRBによる金融引き締めが長引くとの警戒が再燃。雇用統計発表後に低下していた米長期金利が上昇に転じると、株式市場では次第に売りが増えた。

4日はレーバーデーの祝日で、米株式市場が休場となる。3連休を控え、薄商いだったことが上値を抑えた面もある。

午前に発表された米サプライ管理協会(ISM)製造業購買担当者景況指数(PMI)は市場予想を上回ったが、相場への影響は限定的だった。

個別では、スマートフォンのアップルやホームセンターのホーム・デポが高かった。原油価格が上昇し、石油のシェブロンも買われた。半面、通信のベライゾン・コミュニケーションズや航空機のボーイングは下落。ケーブルテレビのチャーター・コミュニケーションズとの契約を巡る不透明感から、映画・娯楽のウォルト・ディズニーは2%下げた。最高経営責任者(CEO)の退任を発表したドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは7%安で終えた。

ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日比3.154ポイント安の1万4031.815で終えた。画像処理半導体のエヌビディアやネット検索のアルファベットが売られた。中国での追加値下げを発表した電気自動車のテスラは5%下落した。

 


【シカゴ日本株先物概況】

1日のシカゴ日経平均先物は続伸した。9月物は前日比260円高の3万2760円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が上昇し、米株式市場ではダウ工業株30種平均が米雇用統計を受け追加利上げ観測が後退し、反発した。日米の株式相場の底堅さを受け、日経平均先物が買われた。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32760 ( +60 )

シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32760 ( +60 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

1日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ25.41ポイント(0.34%)高の7464.54で取引を終えた。自主減産を続けるサウジアラビアが10月も減産を延長するとの見方から原油先物相場が上昇。原油高を材料にエネルギーセクターに買いが入った。中国当局による景気下支え策の強化で、需要回復への期待から資源セクターも上昇した。
FTSEの構成銘柄では、化学大手ジョンソン・マッセイが9.85%高と急伸。資源株のBPは2.73%高、リオ・ティントは2.05%高、アングロ・アメリカンは1.69%高となった。
半面、自動車保険のアドミラル・グループは2.41%安、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズは1.83%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
1日のドイツ株価指数(DAX)は反落した。前日に比べ106.740ポイント(0.67%)安の1万5840.34で取引を終えた。インフレ圧力の根強さから欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め局面が長期化し、ユーロ圏景気が一段と下押しされるとの警戒感から株式に売りが出た。ドイツ長期金利が上昇したのも嫌気され、自動車や資本財のほか、ハイテクセクターに売りが出た。

 
個別では、化粧品大手バイヤスドルフが1.12%高、製薬のバイエルと日用品のヘンケルが共に0.65%高と買われた。一方、自動車株のフォルクスワーゲンは4.18%安、ポルシェは3.62%安、BMWは3.06%安で取引を終えた。
 

■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.27%安(週間では0.93%高)だった。

 

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