12日午前の日経平均株価は反発し、前日比197円95銭(0.61%)高の3万2665円71銭で前場を終えた。
きょう前場は、医薬品などディフェンシブセクターを中心に根強い買いが入り日経平均は上昇に転じた。前日までの3営業日で770円あまりの下落を示していたが、前日の欧州株市場で主要国の株価指数が総じて堅調だったほか、米国株市場でもハイテク株中心に買いが優勢だったことを受け投資家心理が改善した。ただ、半導体関連株などは値を下げる銘柄が多く、日経平均は寄り後上げ幅を急速に縮小する場面もあった。前引けにかけ買い直される展開で、結局200円近い上昇で前場の取引を終えた。
外国為替市場で円相場が1ドル=146円台後半まで下落し、前日比で円安・ドル高方向に振れていることも支えだった。
買い一巡後は上値の重さも目立った。国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.720%と9年8カ月ぶりの水準に上昇した。金利上昇すると相対的な割高感が意識されやすいグロース(成長)株には逆風との見方が株式相場の重荷だった。
半導体株の中でも比較的値持ちのよかったディスコも本日は大きく下落し、遂に25日線を割り込んできている。半導体株の調整色が続くなか、日米の長期金利の上昇を通じて、買いづらさが意識される対象は次第にハイテク全般から内需系のグロース(成長)株にまで広がってきている印象がある。前日急伸した銀行株は本日も底堅い動きを見せているが、買える対象が銀行株に限られてきた感もあり、ムードは良くない。
日銀の政策修正観測が高まり、来週には日米の金融政策決定会合も控えるなか、ハイテク株は当面上値の重い展開が続きそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。JPXプライム150指数は前引け時点で3.26ポイント(0.31%)高の1039.09だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆7731億円、売買高は7億2702万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1202と、全体の3分の2近くを占めた。値下がりは566銘柄、変わらずは67銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は医薬品、輸送用機器、繊維製品、ゴム製品などが上昇。下落は鉄鋼、保険業など。
個別では、ソフトバンクグループ(SBG)が堅調、武田薬品工業も買いが優勢。ファーストリテイリングがしっかり、楽天グループも高い。トヨタやホンダ、SUBARUなど自動車株の上昇も目立った。KDDIやNTTデータも買われた。宮越ホールディングスが値上がり率トップに買われ、正栄食品工業も値を飛ばした。
半面、レーザーテック、アドバンテスト、ディスコなど半導体製造装置関連株が安く、三菱重工業の下げが目立つほか、IHIや三菱重が急落、川崎重工業も大きく値を下げた。ネクステージはストップ安に売り込まれた。三井物や伊藤忠も売られた。
