19日のNYダウ工業株30種平均は8日続伸し、前日比109ドル28セント(0.3%)高の3万5061ドル21セントで終えた。3万5000ドル台を回復し、2022年4月以来の高値を付けた。今後発表を控える主要企業の四半期決算が想定を上回る結果になることへの期待が相場を支えた。インフレの減速を背景に米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化に対する懸念が後退しており、買いが続いている。
この日はシチズンズ・ファイナンシャル・グループ、M&Tバンク、ファースト・ホライゾン銀行、USバンコープといった地銀が決算を報告。今年初めの銀行危機では地銀の預金流出が引き金となったが、いずれも預金残高は安定しており、市場に安心感を与えた。
また、同日のゴールドマン・サックスの4~6月期決算は減収減益だった。ただ、「業績は底入れした」との見方が広がり、1.0%高で取引を終えた。
同業のJPモルガン・チェースも買われ、投資家心理を支えた。
株高が続いているのはFRBの金融引き締めが米景気を冷やすとの懸念が和らいでいるのが大きい。FRBは6月に年内あと2回の利上げを示唆したが、市場では1回にとどまるとの見方がある。相場の上昇についていこうと急いで買いを入れる投資家も増え、株高に弾みがついた。ダウ平均の8日続伸は19年9月以来の長さとなる。
ただ、ダウ平均は上値の重さも意識された。上げ幅は前日までの7日間で1200ドルに達し、利益確定売りも出やすい。ダウ平均の構成銘柄ではないが、電気自動車のテスラや動画配信のネットフリックスといった大手ハイテク企業の決算発表が取引終了後に控え、様子見の投資家も多かった。
通信のベライゾン・コミュニケーションズや顧客情報管理のセールスフォースの上昇が目立った。映画・娯楽のウォルト・ディズニーも高い。半面、航空機のボーイングやソフトウエアのマイクロソフトが下落した。
ナスダック総合株価指数は小幅に3日続伸した。前日比4.376ポイント高の1万4358.018で終え、22年4月以来の高値を付けた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズが上昇した。
S&P500種株価指数は前日比10.74ポイント(0.2%)高の4565.72と22年4月以来の高値で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
19日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比140円高の3万2880円で終えた。米主要企業が発表する四半期決算が相次ぎ市場予想を上回り、同日の米株式相場が上昇した。
東京株式市場で日経平均株価が高かったこともあり、シカゴ市場での先物買いにつながった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32880 ( -100 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32925 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7588.20(+134.51)
19日のFTSE100種総合株価指数は大幅に続伸した。前日に比べ134.51ポイント(1.80%)高の7588.20と、6月19日以来1カ月ぶり高値で取引を終えた。
19日発表の6月の英消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、高インフレが緩やかながらも緩和に向かうとの期待が広がった。イングランド銀行(英中央銀行)の利上げが長期化するとの観測も後退し、幅広いセクターに買いが入った。金利動向に敏感な住宅建設関連株が軒並み上昇した。
個別では、好決算を背景に投資会社ハーグリーブス・ランズダウンが8.78%高と上昇率トップ。住宅大手パーシモン(8.29%高)と商業用不動産大手ランド・セキュリティーズ(7.65%高)が続いた。一方、広告会社WPPは1.58%安、産鋼大手アントファガスタが1.36%安と下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16108.93(-16.56)
19日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に反落した。前日に比べ16.56ポイント(0.10%)安の1万6108.93で取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)が来週の理事会で利上げを決めるとの観測は根強く、相場の重荷になった。ドイツ長期金利の低下が一服したのも嫌気された。金融やハイテクセクターに売りが出た。
個別では、素材化学大手コベストロが2.90%安。商用車大手ダイムラー・トラックが1.32%安、ミュンヘン再保険が1.28%安の下げが目立った。
半面、不動産大手ボノビアは6.88%高、製薬会社サルトリアスは2.08%高とそれぞれ買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7326.94(+7.76)
フランスCAC40種指数は0.11%高だった。
英利上げの上限に達するとの期待が高まり、打撃を受けていた住宅関連株を中心に上昇した。
