28日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比176ドル57セント（0.5%）高の3万5459ドル29セントで終えた。同日発表の経済指標がインフレ圧力の高まりを示さなかった。米連邦準備理事会（FRB）の利上げが継続するとの懸念が和らぎ、買いが優勢となった。
米商務省が朝方公表した6月の個人消費支出（PCE）物価指数は前年同月比3．0％上昇と、伸びは2年3カ月ぶりの低水準となった。変動の大きいエネルギー・食品を除くコアが前年同月比4.1%上昇と5月（4.6%上昇）から減速し、市場予想（4.2%上昇）も下回った。賃金インフレの動向をみる上で重要な4～6月期の雇用コスト指数の伸び率も前期比1.0%と市場予想（1.1%）以下だった。
物価の下落基調を受け、米連邦準備制度理事会（FRB）による利上げ長期化への警戒感が緩和。好調な企業決算を背景に「経済が腰折れしない」（日系証券）との見方も相場を下支えした。
物価上昇の勢いが和らいでいると受け止められ、FRBによる現在の利上げサイクルが終了するとの観測が強まった。市場では「米経済がソフトランディング（軟着陸）できるとの期待が高まった」との見方があり、投資家心理が楽観に傾いた。
企業業績が改善するとの期待も相場を支えた。27日夕発表の2023年4～6月期決算が市場予想を上回った半導体のインテルは7%高で終えた。日用品のプロクター・アンド・ギャンブル（P&G）にも決算を好感した買いが集まった。
そのほか、ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが上昇した。米長期金利が低下し、相対的な割高感が薄れた高PER（株価収益率）のハイテク株が買われた。半面、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスとネットワーク機器のシスコシステムズが下落した。保険のトラベラーズにも売りが出た。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日比266.551ポイント（1.9%）高の1万4316.658で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズや電気自動車のテスラの上昇が目立った。
S&P500種株価指数は前日比44.82ポイント（1.0%）高の4582.23と22年4月以来の高値で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比590円高の3万3095円で終えた。
インフレ鈍化を示す米経済指標を好感し米株式相場が反発し、日経平均先物にも買いが広がった。外国為替市場での円安進行も支えとなった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
33095 ( +325 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
33130 ( +360 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
28日のFTSE100種総合株価指数は小幅ながら続伸した。前日に比べ1.51ポイント（0.02%）高の7694.27と、連日で5月23日以来約2カ月ぶりの高値で取引を終えた。28日発表した2023年4～6月期決算で、売上高が市場予想を上回った製薬大手アストラゼネカが前日比3%強上昇し、指数の上昇をけん引した。一方、週末を前に利益確定目的の売りが出やすく、上値は限られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
28日のドイツ株価指数（DAX）は続伸した。前日に比べ63.72ポイント（0.39%）高の1万6469.75と、連日で過去最高値を更新して取引を終えた。28日発表のドイツの2023年4～6月期実質国内総生産（GDP）速報値が前期比横ばいとマイナス成長を回避。7月の消費者物価指数（HICP）の伸びは市場予想を下回った。景気低迷とインフレ継続に対する過度な懸念が和らいだ。欧州中央銀行（ECB）の利上げ長期化観測が後退しているのも相場を支えた。化学や消費財、資本財など景気敏感セクターが買われた。
個別では、化学大手BASFが3.10％高、高級車メーカーのポルシェが2.18％高、航空機大手エアバスが1.86％高。半面、ディフェンシブ株は売られ、電力大手RWEは2.33％安、医療機器のザルトリウスは1.90％安、ヘルスケア大手シーメンス・ヘルシニアーズは1.64％安で引けた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0．15％高（同0．59％高）だった。インフレが和らぎ、米欧中央銀行の利上げサイクルが終了するとの観測が株価を下支えた。
