3日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比66ドル63セント(0.2%)安の3万5215ドル89セントで終えた。
米長期金利の上昇基調が強まり、株式の相対的な割高感が意識された。ただ、3日の通常取引終了後にスマートフォンのアップルやネット通販のアマゾン・ドット・コムが発表する四半期決算や4日の7月の米雇用統計を見極めたい投資家が多く、下げ渋って終えた。
ダウ平均は寄り付き直後に160ドル下げる場面があった。
格付け大手フィッチ・レーティングスによる米国債格下げや、米財務省の国債増発計画を受け、3日には長期金利が4.1%台後半と昨年11月以来の水準に上昇。投資家心理が悪化し、アップルやマイクロソフトなどハイテク株が売られ、相場を押し下げた。
足元の米景気が想定以上に底堅いのに加えて米財政悪化による国債増発で金利先高観が強まっている。金利上昇で相対的な割高感が強まる高PER(株価収益率)のハイテク株の一角や、配当利回りが高く金利敏感株とされる銘柄などが売られた。金利上昇が業績の逆風となる資本財関連も下げた。
売り一巡後は上げに転じ、ダウ平均は65ドル高となる場面があった。米連邦準備理事会(FRB)が重視する4日の米雇用統計は金利動向にも影響を与えるとみられ、関心が集まる。3日発表の4~6月期の労働生産性指数(速報値)は市場予想を上回る伸びとなり、単位労働コストは市場予想以上に伸びが鈍化した。
7月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は低下したものの、好不況の境目である50を上回った。経済指標がインフレ圧力の緩和や米景気の底堅さを示したことは好感された。
ダウ平均では顧客情報管理のセールスフォースや建機のキャピタラーが下げた。一方、半導体のインテルが買われた。
ナスダック総合株価指数は3日続落し、前日比13.732ポイント(0.1%)安の1万3959.715で終えた。2日夕発表の決算を受けて半導体のクアルコムや電子決済サービスのペイパル・ホールディングスなどが売られた。一方、アナリストが人工知能(AI)関連事業に強気な見方を示した半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が上昇した。電気自動車のテスラも買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比415円安の3万1930円で終えた。米長期金利の上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株が売られ、同日の米株式相場が下落した。東京株式市場でも金利上昇を受けて日経平均株価が下げ、シカゴ市場で先物は売り優勢となった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7529.16(-32.47)
3日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ32.47ポイント(0.43%)安の7529.16で取引を終えた。イングランド銀行(英中央銀行)が3日、政策金利を0.25%引き上げると発表した。金融引き締め継続が英国経済を下押しするとの警戒感が市場心理を冷やした。医薬品や日用品、公共事業などディフェンシブセクターに売りが出た。
FTSEでは、上半期減益を発表した包装資材大手モンディは6.74%安と下落幅トップ。通信大手BTが4.20%安、フレスニロが4.09%安と続いた。一方、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは4.51%高、自動車保険のアドミラル・グループは3.69%高、賭け屋大手エンテインは2.30%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15893.38(-126.64)
3日のドイツ株価指数(DAX)は4日続落した。前日に比べ126.64ポイント(0.79%)安の1万5893.38で取引を終えた。3日発表のユーロ圏の7月購買担当者景気指数(PMI)改定値が速報値から下方改定され、市場予想を下回った。ユーロ圏の経済活動が低迷するとの警戒感が市場心理を押し下げた。ドイツ長期金利の上昇も嫌気された。ハイテクや自動車、資本財セクターが売られた。
個別では、第4四半期の減収予想を公表した半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが9.33%安と大きく下落。高級車メーカーのポルシェが2.73%安、自動車部品大手コンチネンタルが2.
17%安だった。一方、通販大手ザランド(6.82%高)や化粧品大手バイヤスドルフ(3.54%高)、製薬大手メルク(3.18%高)は買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7260.53(-52.31)
フランスCAC40種指数は0.72%安だった。
米国債の格下げなどを背景に米長期金利が上昇し、世界的に株価は下落。決算発表した欧州企業の業績不振も、押し下げ要因となった。
