9日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比191ドル13セント(0.5%)安の3万5123ドル36セントで終えた。
米労働省が10日に発表する7月の米CPIは、市場予想によると前月並みの伸びとなり、インフレの鈍化を示唆する内容となる見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げの有無を見極める上で重要な指標とみなされており、株式市場では持ち高調整の売りが優勢になった。下げ幅は一時250ドルを超えた。
ダウ・ジョーンズ通信のまとめでは、7月の米CPIは前年同月比の上昇率が3.3%と6月(3.0%)から伸びが加速すると見込む。エネルギー・食品を除くコア指数は6月と同じ4.8%になると予想される。CPIが市場予想より上振れすると、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げの観測が高まりやすく、積極的に買いを入れる雰囲気は乏しかった。
米政府が中国への投資規制を一段と厳しくすると伝わった。先端半導体や人工知能(AI)なども対象に含まれ、大型ハイテク株の重荷となった面がある。
9日発表の中国の7月のCPIは前年同月比0.3%下落と、2年5カ月ぶりに低下した。中国経済の弱さを意識させる指標が相次ぐなか、追加の景気刺激策への思惑から、資源関連の景気敏感株の一部に買いが入った。ダウ平均は小幅に上昇に転じる場面もあった。
顧客情報管理のセールスフォースとスマートフォンのアップルが下落した。金融のゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースにも売りが続いた。一方、建機のキャタピラーや化学のダウ、石油のシェブロンが上昇した。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比162.308ポイント(1.2%)安の1万3722.016で終えた。半導体のエヌビディアが5%安だった。電気自動車のテスラ、交流サイトのメタプラットフォームズも下げた。
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比190円安の3万2120円で終えた。
翌日に7月の米消費者物価指数(CPI)の発表が控え投資家の様子見姿勢が強まる中、続落した。
9日の日本株が下げたこともあり、日経平均先物も売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32120 ( -100 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32145 ( -75 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7587.30(+59.88)
9日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日に比べ59.88ポイント(0.80%)高の7587.30で取引を終えた。イタリア財務省が8日、同国銀行に対する追加課税について、上限額は総資産の0.1%を超えることはないと表明した。業績への影響が軽減するとの見方からイタリア株が買い直されたのを材料に投資家心理が好転し、英株式市場でも幅広いセクターが買われた。原油先物相場の上昇も追い風に、エネルギーセクターの上げが指数をけん引した。
FTSE100の構成銘柄では、石油大手BP2.64%高が上昇幅トップ。インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは2.49%高、石油大手シェル2.38%高と続いた。一方、保険会社ヒスコックスは6.02%安、賭け屋大手フラッター・エンターテイメントは3.42%安、水道大手セバーントレントが3.39%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15852.58(+77.65)
9日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。前日に比べ77.65ポイント(0.49%)高の1万5852.58で取引を終えた。イタリア財務省が8日、同国銀行に対する追加課税について、課税上限額が総資産の0.1%を超えることはないと表明した。業績への悪影響が和らぐとの見方からイタリア株式相場が上昇。投資家心理が好転し、ドイツ株にも買いが波及した。金融やテクノロジーセクターが上昇した。半面、9日発表の中国の物価統計が低調となるなど中国の景気懸念は重荷だった。自動車など消費財セクターの一角が売られた。
では、不動産大手ボノビアが3.54%高、製薬会社サルトリアスが2.14%高、化粧品商社ブレンタークは1.79%高と買われた半面、通販大手ザランドが4.31%安、エネルギー大手のシーメンス・エナジーやエーオンが2.71%安、1.53%安とそれぞれ売られた。
イタリアの代表的な株価指数FTSE・MIBは7営業日ぶりに反発し、前日比1.31%高で終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7322.04(+52.57)
フランスCAC40種指数は0.72%高だった。
優良企業の好決算も地合いを押し上げた。
