16日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比108ドル94セント(0.3%)安の3万4299ドル12セントで終えた。
中国政府による景気刺激策への期待からアジアや欧州の市場が値上がりした流れを引き継ぎ、56ドル高で取引を開始。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官らによるタカ派的な発言が伝わったことで、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げするとの見方が強まり、マイナス圏に沈んだ。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は16日の講演で、米国の物価上昇率がFRBの目標である2%に戻る裏付けとなるデータが示されなければ「一段の金融引き締めに賛同する」との認識を示した。FRBの金融引き締めが長引き、将来の米景気が冷え込むとの警戒感が意識された。
このほか、週明け19日は祝日のため、3連休を控えた手じまい売りも出やすかった。今月に入って上昇基調が続き、前日に年初来高値を付けたことで、利益確定売りも広がったとみられる。
一方で、ミシガン大学が16日に発表した6月の消費者調査では、1年先の予想インフレ率が3.3%と2021年3月以来の低さだった。FRBが13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に示した政策金利見通しは年内2回の利上げを見込む水準だったが、市場では1回の利上げにとどまるとの見方がある。「抑制されたインフレ期待が慎重な金融引き締めの前兆になる」として、ダウ平均は一方的に下げ幅を広げる展開にはならなかった。
ミシガン大の同調査では、消費者態度指数(速報値)が63.9と市場予想(60.2)を上回った。15日発表の5月の米小売売上高が市場予想に反して前月比で増加したこともあり、消費が底堅さを保っているとの見方も相場を支えた。
個別では、映画・娯楽のウォルト・ディズニーやソフトウエアのマイクロソフト、医療保険のユナイテッドヘルス・グループが下落した。半面、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスや半導体のインテルは上昇した。
ナスダック総合株価指数は7営業日ぶりに反落した。前日比93.250ポイント(0.7%)安の1万3689.571で終えた。ネット検索のアルファベットや動画配信のネットフリックスが下げた。
ナスダック指数は週間では430.428ポイント(3.2%)上昇した。8週連続で上げ、18年12月~19年3月以来の週間ベースでの連続上昇となった。半導体のエヌビディアや電気自動車のテスラなど大型株の上昇が指数をけん引した。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比210円高の3万3675円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が33年ぶり高値を更新したのを受け、日経平均先物にも買いが入った。ただ、NYダウは米利上げ観測の高まりを受けて反落した。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
16日のFTSE100種総合株価指数は5日続伸した。前日に比べ14.46ポイント(0.19%)高の7642.72で取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が金融引き締めを続けるなか、業績が景気の影響を受けにくい日用品や医薬品、公益事業などディフェンシブ銘柄に買いが入った。一方、週末を前に目先の利益を確定させる売りが出て、上値は重かった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
16日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ67.51ポイント(0.41%)高の1万6357.63で終え、2日ぶりに過去最高値を更新した。16日のアジア株高で運用リスクを取りやすい雰囲気が広がった。中国の追加の景気刺激策への期待が根強く、資本財や消費財、金融など景気敏感銘柄に買いが入った。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.34%高(同2.43%高)だった。
