ダウ続落し219ドル安、米景気後退への懸念

23日のNYダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比219ドル28セント(0.6%)安の3万3727ドル43セントで終えた。

英イングランド銀行(中央銀行)やスイス国立銀行(中央銀行)は22日、政策金利を引き上げると公表した。英国の利上げ幅は0.5%と通常の2倍に当たる。世界的にインフレが続く中、市場では「利上げが長引く」との見方が広がったため、株が売られた。

欧州主要国でもPMIの下振れが目立ち、世界的な景気悪化への懸念が高まっていることも米株の投資家心理の重荷となった。前日に上昇したハイテク株への売りも目立った。

S&Pグローバルが朝方発表した6月の米製造業PMIは46.3とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(49.0)を下回り、前月(48.4)からも低下した。高インフレによるコスト圧力などが影響し、景況感の悪化につながった。

同日に発表された欧州主要国の6月のPMI(速報値)が相次いで市場予想を下回った。一方、各中央銀行はインフレ抑制のために一段の金融引き締めを進める構えをみせている。22日には英イングランド銀行やスイス、ノルウェーなどの中銀が政策金利を引き上げた。

米国でも米連邦準備理事会(FRB)高官から年内の1、2回の利上げに前向きな発言が相次ぐ。サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、年内にあと2回の利上げをするのが「現時点では非常に妥当な見通しだ」と述べたとロイター通信が23日伝えた。一段の金融引き締めが景気後退につながるとの警戒から株売りが広がった。

前日に上げていたハイテク株への売りも株式相場の重荷だった。市場では「このところハイテク株は買われすぎていたため、割高感がある」との声が聞かれた。金融引き締めによる商業用不動産向け融資への懸念から、銀行株も下落した。

個別では、スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフト、金融のJPモルガン・チェースなどが売られた。一方、半導体のインテルや製薬のメルクは上昇。工業製品・事務用品のスリーエムも買いが優勢となった。飲料水汚染を巡る訴訟で和解金の支払いに原告側と合意したことが材料となった。

ダウ平均は週間で571ドル下落した。4週ぶりの下落で、下落幅は3月中旬以来の大きさとなった。

ナスダック総合株価指数は反落した。前日比138.093ポイント(1.0%)安の1万3492.516で終えた。週間では1.4%下落し、9週ぶりに下落した。電気自動車のテスラや画像処理半導体のエヌビディアなどの下げが目立った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

23日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比810円安の3万2635円で終えた。同日の東京株式市場で日経平均株価が下落。
英国など先進国で相次ぐ利上げの発表に伴う景気減速懸念を受け、米株式市場でも景気悪化への懸念から主要3株価指数がそろって下げ、日経平均先物にも売りが広がった。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32635 ( -35 )

シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32700 ( +30 )

※( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

23日のFTSE100種総合株価指数は5日続落した。前日に比べ40.16ポイント(0.54%)安の7461.87で取引を終えた。欧米中央銀行の金融引き締め継続による世界的な需要懸念が根強い。石油や非鉄金属相場の下落で、資源やエネルギーなど商品関連銘柄に売りが出た。英景気の悪化を警戒し、金融や資本財など景気敏感銘柄も売られた。

個別では、オンライン食品販売大手オカド・グループが5.32%安と下落率トップ。包装資材大手DSスミスは4.39%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は4.16%安と続いた。一方、米国での訴訟で和解に達した製薬大手GSKが4.87%高、特殊化学品大手クローダ・インターナショナルが2.05%高と買われた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

23日のドイツ株価指数(DAX)は5日続落した。前日に比べ158.22ポイント(0.99%)安の1万5829.94で取引を終えた。発電設備などを手掛ける独シーメンス・エナジー株が前日比37%安と暴落した。子会社の風力タービン部門シーメンス・ガメサで品質問題が生じたのをきっかけに、22日の取引終了後にシーメンス・エナジーの2023年9月期通期の利益見通しを取り下げると発表。業績への不透明感が急速に高まった。同社は「潜在的な品質関連対策と関連コストは現在評価中だが、10億ユーロを超える可能性がある」と公表していた。

 
23日発表の6月のドイツの購買担当者景気指数(PMI、速報値)で、製造業が41.0と前月から低下し、3年1カ月ぶりの低水準だった。市場予想も下回った。企業景況感の悪化も相場の重荷だった。エネルギーのほか、自動車やテクノロジーが売られた。
 
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーの株価が年間利益見通しの撤回を受け、37.32%安と急落。コメルツ銀行が5.82%、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが3.81%とそれぞれ下落した。
 

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.55%安だった。
欧州経済指標が下振れたことや、米連邦準備制度理事会(FRB)を含め主要中央銀行の利上げ継続の意向も株価の押し下げ要因となった。

 

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