「レポート」
電子端末にみる市場の見方。
↓
四半期末が重なる6月末にかけて、年金基金等による運用資産のリバランスが発生する見込み。
今月は債券価格に対して株価指数がアウトパフォームしている。
株式から債券への資金フローを伴うリバランスが発生しうる。
ただ、6月中旬以降に円安が進んだ。
外国債券の価格が上昇した。
国内勢によるリバランスに伴う日本株への売り圧力は当初の推計から相応に低下している可能性がある。
GPIFの政策ポートフォリオにおける国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4資産のウエートはそれぞれ25%。
、政策ベンチマークは国内債券がNOMURA-BPI(除くABS)、日本株が東証株価指数(TOPIX、配当込み)。
外国債券はFTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)。
外国株式はMSCI ACWI(除く日本、円ベース、配当込み)。
NOMURA-BPI(除くABS)の代替として野村BPI国債全体を用い、6月の各ベンチマークの騰落率推移を確認。
すると、6月中旬まではTOPIX(灰線)とMSCI ACWI(青線)といった株式のアウトパフォームが目立った。
ただ下旬になるとFTSE世界国債インデックス(黄線)の上昇が目立ち、株式を逆転した。
2022年12月末時点でGPIFの運用資産額は191.4兆円。
年初来の株価上昇などにより、直近の運用資産額は210兆円程度まで増加していよう。
推計では6月中旬のピークでは国内株から約1.7兆円の売りが発生すると推計された。
ただ、26日時点では円安と債券価格の上昇を受け、同金額は7000億円程度まで減少しているものと試算。
JPモルガンの15日付リポートでは6月の四半期末にむけたマルチアセット投資家によるリバランスにより、株式から債券に約1500億ドルのリバランスフローが発生すると推計。
ただ、同リポートが配信された15日直前は、円ベースでみた株式の債券に対するアウトパフォームが6月中のピークをつけていた時期でもあった。
今後は日本株固有の需給要因として、7月上旬に迎えるETF(上場投資信託)の分配金捻出売りに注目が集まりそう。
いくつか前提条件を置いて試算すると、昨日の下落でGPIFがもう日本株を売る必要はない可能性が出ている。
3月末の各資産のウエートを25%、4月以降の信託銀行の国内株の売り越し額約2兆円を債券にリバランスしたと仮定した場合、
ほぼリバランスの必要はないとの見方。
今後の各資産の動きにはよるとは思いますが、日本株の調整が必要なら29日に執行する可能性もあるとの指摘がある。
クレディ・スイスのリポート。
↓
常識では長期債利回りが短期債利回りを下回る逆イールドカーブは経済収縮の前兆であると考えられている。
米10年物国債利回りが米3カ月物財務省証券の利回りを下回ったのが2022年10月25日。
一般的に逆イールドが発生すると11カ月後に景気後退が起こる。
だから9月の景気後退を示唆している。
一方で、クレディ・スイスの分析ではイールドカーブが反転しなくなるときに不況が始まることを示している。
FRBが景気後退を見越して利下げをすると、イールドカーブのスティープ(急勾配)化する。
これは直感的に理解できる。
米国債先物は現在、2026年6月に最初の逆イールドがなくなることを示唆している。
それまで景気後退が始まらない可能性がある。
BNPパリバの日本ストラテジーリポート。
日経平均株価のフェアバリューは3万3538円。
足もとはやや売られ過ぎの可能性は否めない。
一方、既に日本株のバリュエーションも割安とは言い難い。
投資家が「熱狂から覚めた」可能性がある。
「青天井で上がるというイメージは持たない方がいい。
HSBCのリポート。
↓
新興国(GEM)のファンドはインドと中国本土へのエクスポージャーをさらに削減。
中国本土市場の保有高は21年初め以来の最低水準となっている。
外国人投資家は今年、アジア株に550億ドルの資金を投入したという。
インドと日本はこれまでのところ23年4~6月期にかなりの資金流入があった。
インドはこれまでのところ、20年以来最大の102億ドルの純流入を報告している。
日本への450億ドルの流入は過去10年間で最高である。
ゴールドマン・サックの国際株式見通しのリポート。
↓
我々が『楽観主義』と表現する相場の最終局面は、一般的に金利が上昇してもバリュエーションが上昇することを意味する。
こうした局面を見極めるのは、リアルタイムではなく、発生した後の方が容易である。
これまでのところこのサイクルはこの典型的なパターンを踏襲していることが分かる。
○金利と成長懸念の綱引きが続いていること、
特に米国ではバリュエーションが平均より高いこと、
ソフトランディングの可能性が高いにもかかわらず収益成長が弱いこと──
などがリターンを制約している。
例えば、S&P500指数は昨年夏とほぼ同じ水準にある。
日本と欧州はやや上昇しているが、アジアはやや下落している。
全体として、世界の株式指数はほぼ横ばいである。
○しかし、ここ数週間、株式相場は上昇を享受し、指数がレンジを決定的に脱却するとの楽観論につながった。
特に6月以降の上昇は、テールリスクの薄れによって引き起こされたボラティリティの低下と、
米国の債務上限の解決、米国の地方銀行からの預金逃避の鈍化などが助けとなり、
コモディティ価格の下落はインフレの定着リスクを低下させた。
また、人工知能(AI)とその影響に対する最近の注目度の高さも、成長への熱意を再燃させる材料となった。
○これらのことが相まって、株式相場はほとんどの地域で低調な利益成長にもかかわらず上昇し、
バリュエーションは金利上昇にもかかわらず上昇した。
これらはすべて、典型的な後期楽観相場の特徴である。
○ここ数週間の株式相場のもう1つの重要な原動力は、
市場が示唆する景気後退の確率が、経済成長に対するエコノミストのよりポジティブな見方に向かったことである。
リスク選好指標の上昇の大部分は、資産全体の急激なプロシクリカル・リプライシングによるものである。
実質金利の上昇にもかかわらず、S&P500の予想株価収益率(PER)はここ数週間で急上昇している。
このことは、投資家が急速な利下げを期待しているか、長期的な成長期待が高まっているか、
あるいはその両方であることを示唆している。
(櫻井)。
