小幅続落30ドル安、ナスダックは反発

10日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比30ドル48セント(0.1%)安の3万3531ドル33セントで終えた。
米債務上限問題を巡る不透明感が根強く、株式相場の重荷となった。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化への警戒もあり、ダウ平均の下げ幅は300ドルを超える場面があった。

この日発表された4月の米消費者物価指数(CPI)で、航空運賃の項目は前月比で2.6%低下し、旅行需要の減速が示された。
インフレ沈静化には時間がかかり、FRBの引き締めが長期化することへの警戒もあった。
また、エアビーアンドビーが同日明らかにした今後の業績見通しが弱かったことも影響し、旅行の際に使われやすいクレジットカード関連の銘柄や、ホテル株が下げた。アメリカン・エキスプレスは3.06%安、ビザは0.85%安だった。

市場関係者は「今夏は新型コロナウイルス禍が明けて本格的に旅行が回復するとの期待が大きかっただけに、需要の弱さを示す材料が出てきて嫌気された」と説明する。

バイデン米大統領は9日夕に野党・共和党のマッカーシー下院議長らと連邦債務の上限引き上げについて協議したが、目立った進展がなかった。12日に再び協議する。市場では「どのような事態になるか見通しにくく、相場の重荷となっている」との声があった。

ダウ平均の構成銘柄では、クレジットカードのアメリカン・エキスプレス、スポーツ用品のナイキ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーといった消費関連の下げが目立った。

朝方は買いが先行した。CPIが市場予想より上振れすることへの警戒が強かったため、CPIの発表後は米債券市場で長期金利が低下した。ダウ平均は一時200ドルあまり上昇した。割高感が薄れたとみられた高PER(株価収益率)のハイテク株が買われた。顧客情報管理のセールスフォース、ソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルが上昇した。

ナスダック総合株価指数は反発した。前日比126.889ポイント(1.0%)高の1万2306.442で終えた。アルファベットが4%高となった。子会社のグーグルが文章や画像を自動でつくる生成人工知能(AI)を40超の言語で提供すると発表し、買いが入った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

10日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比170円安の2万9055円で終えた。
旅行関連の銘柄などに売りや、米債務上限問題を巡る不透明感などから同日のNYダウ工業株30種平均が下落し、日経平均先物もつれ安となった。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29055 ( -85 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29065 ( -75 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7741.33(-22.76)

10日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ22.76ポイント(0.29%)安の7741.33で終えた。外国為替市場で英ポンドが対ドルで約1年ぶりの高値圏にある。蒸留酒最大手のディアジオや日用品のユニリーバ、製薬のアストラゼネカといった売上高の海外比率の高い輸出企業の下落が指数を押し下げた。長引く高インフレによる消費懸念から、食品・飲料や小売りといった消費者関連セクターの一角にも売りが出た。

個別では、株式会社メルローズ・インダストリーズが4.78%と上昇率トップ。航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは3.07%、化学大手ジョンソン・マッセイ2.33%と続いた。
一方、オンライン食品販売オカド・グループ4.21%下落。教育・メディア大手ピアソンは3.56%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15896.23(-59.25)

10日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日に比べ59.25ポイント(0.37%)安の1万5896.23で取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)の利上げ長期化で景気が悪化するとの懸念が投資家心理の重荷となった。金融や消費など景気敏感セクターの一角が売られた。

ブルームバーグ通信は10日、複数の関係者の話として、ECB当局者らはインフレを完全に抑えるため、9月も利上げを続ける必要があることを受け入れ始めていると伝えた。市場ではECBが6月と7月に2回利上げした後、利上げを停止するとの予想が多い。

個別では、不動産サービスのヴォノヴィアが3.27%高。自動車部品大手コンチネンタルは3.06%、医療サービス大手フレゼニウス・メディカルケアが2.02%と買われた。反面、シーメンス・ヘルシニアーズは5.66%安、保険大手のミュンヘン再保険とアリアンツがそれぞれ2.53%安、1.64%安となり売られた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7361.20(-35.97)

フランスCAC40種指数は0.49%安だった。堅調な米消費者物価指数(CPI)による米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続くとの見方を背景に、欧州株は下落した。

 

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