12日のNYダウ工業株30種平均は小幅に5日続落し、前日比8ドル89セント(0.02%)安の3万3300ドル62セントで終えた。
米消費者の景況感悪化を示す指標を受け、米景気の先行き懸念から売りが優勢になった。米連邦政府の債務上限を巡る不透明感も株式の買い手控えにつながった。ただ、ダウ平均は前日までの4日間で360ドルあまり下落した後で主力銘柄の一角には押し目買いも入りやすく、取引終了にかけて下げ渋った。
米ミシガン大学が発表した消費者調査によると、5月の景況感指数(暫定値)は57.7となり、前月(確報値)の63.5から低下した。昨年11月以来最低の水準で、景気動向への懸念が高まった。
また、5年先期待インフレ率は3.2%と約12年ぶりの高水準に上昇。市場では「景気後退とインフレが同時に進むスタグフレーションのような状況に陥る可能性が意識」され、相場の重しとなった。
市場では「消費者はかなり悲観的になりつつある一方、予想インフレ率が高止まりすれば米連邦準備理事会(FRB)に一段の金融引き締めを強いる」と受け止められた。
米連邦政府債務の上限を巡り、バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の協議は来週に持ち越しとなった。米議会予算局(CBO)は12日に「債務上限が変更されなければ、6月最初の2週間のどこかで政府がすべての債務を支払えなくなる重大なリスクがある」との見解を示した。市場では「問題解決に至るまで投資家を不安にさせる」との声が聞かれた。
景気敏感株や消費関連株への売りが目立ち、ダウ平均は200ドル近く下げる場面があった。銀行のJPモルガン・チェースや航空機のボーイング、スポーツ用品のナイキが安い。米長期金利の上昇を受け、相対的な割高感が意識されやすかった高PER(株価収益率)のハイテク株も売りが優勢だった。
半面、IT(情報技術)のIBMや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は上昇した。ダウ平均はこのところ3万3000ドル前後で下値が支えられていた。週末を控え、売りに傾いていた投資家が持ち高を中立に傾ける動きも出やすかった。安値では押し目買いも入り、取引終了にかけて急速に下げ幅を縮小した。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日比43.764ポイント(0.4%)安の1万2284.743で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラが売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比445円高の2万9575円で引けた。
この日発表された米経済指標で景気の先行きに対する不安が高まったことを受け、NYダウは小幅続落した。
同日の外国為替市場で円安・ドル高が進み、輸出企業の採算が改善するとの見方から、日経平均先物に買いが入った。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29575 ( +155 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29590 ( +170 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
12日のFTSE100種総合株価指数は4日ぶりに反発した。前日に比べ24.04ポイント(0.31%)高の7754.62で終えた。前日に売られていたシェルやBPのエネルギーセクターに値ごろ感を意識した買いが入り、指数を押し上げた。
製薬大手グラクソ・スミスクラインが12日、カナダでの胃炎・消化性潰瘍治療薬「ザンタック」を巡る集団訴訟が棄却されたと発表した。訴訟リスクが後退したことで同社株が買われたほか、アストラゼネカにも買いが波及し、医薬品セクターも上昇した。
個別では、通信大手エアテル・アフリカは3.04%高で上昇率トップ。保健大手ビーズリーは2.98%高、JDスポーツファッションは2.76%高と続いた。反面、不動産大手ブリティッシュ・ランドが2.85%安、オンライン食品販売大手オカド・グループは2.56%安と、それぞれ下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
12日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反発し、前日に比べ78.91ポイント(0.50%)高の1万5913.82で取引を終えた。フランスの金融大手が好業績を発表したのを受け、ドイツの金融セクターにも買いが波及した。前日に売られていたエアバスやシーメンスなど資本財セクターの一角には値ごろ感を意識した買いが入った。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.32%高。防衛大手ラインメタルが2.89%高、自動車部品大手コンチネンタルが1.93%高と買われた。
一方、自動車大手BMWが8.29%と売られたほか、セメント大手ハイデルベルクセメントも2.42%安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.45%高だった。エネルギー株とヘルスケア株が主導する形で上昇した。
