17日午前の日経平均株価は続伸し、前日比196円42銭(0.66%)高の3万0039円41銭で前場を終えた。
きょう前場は買い先行で始まるも、朝方は強弱観対立のなか日経平均の上げ幅は小さかった。しかし、その後買いの勢いが増し約1年8カ月ぶりに3万円大台を回復した。3万円台に乗せた後も戻り売りや利益確定売りをこなし、頑強な展開を続けている。
半導体関連が買われ全体相場を牽引しているほか、先物経由のインデックス買いも日経平均に押し上げ効果をもたらしている。空売り筋の買い戻しなども加わり、一時200円を超える上昇を示した。ただ、大型株主導の上昇で全体では値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が上回っている。
日銀による金融緩和策が継続するとの期待感が強い日本は米欧などと比べ、金融不安や景気減速懸念が起こりにくいとする声が強まっている。「海外投資家が日本株に強気になっている」といい、株価上昇に弾みがついた。東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対する改善要請などを受け、積極的な自社株買いを打ち出した企業が目立つのも海外勢に好感されているという。
内閣府が17日朝発表した2023年1~3月期の国内総生産(GDP)は実質年率換算で前期比1.6%増だった。QUICKが集計した民間予測の中央値(0.7%増)を上回り、投資家心理を支えた。新型コロナウイルス禍からの経済正常化でサービスなどの個人消費が伸びた。
東証プライム市場では値下がり銘柄の割合の方が多い(前引け時点)うえ、値がさ株の上昇率が高いことから先物買いが押し上げ役として働いているだろうが、それでも強い。背景としては度々多方面で指摘されているように日本株を巡る海外投資家の見方が変わり、日本株のアロケーション(配分比率)を増やしていることが考えられる。
5月SQを通過しても、決算発表が一巡しても、中国の経済指標の下振れが続いても、米債務上限問題がくすぶり続けていても、日本株の上昇の勢いは止まる気配をまったく見せていない。日経平均は大台の3万円を回復しても「目先の達成感」といった様相すら感じさせず、勢いはそのままだ。
前日に33年ぶりの高値をつけた東証株価指数(TOPIX)が5.56ポイント高の2132.74と続伸した。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6039億円、売買高は7億1566万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は801と、全体の約4割だった。値下がりは925、変わらずは106銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)は保険業、パルプ・紙、空運業などが上昇した。下落は海運業、鉄鋼、石油・石炭製品など。
個別では、岸田文雄首相が18日に米台韓の半導体大手と面会し、日本への投資や拠点開設などについて意見交換すると伝わり、半導体関連株が高い。
断トツの売買代金をこなしたレーザーテックが上値を追ったほか、東京エレクトロン、アドバンテストなど半導体製造装置関連が軒並み高。ソフトバンクグループ(SBG)も高い。ファーストリテイリングも買いが優勢。メドレーが急騰、円谷フィールズホールディングスも大幅高となっている。
半面、テルモが安い。三井住友フィナンシャルグループが軟調、日本郵船も値を下げた。日本製鉄も売りに押された。SMCが下落、ファナックや安川電、オリンパスの下げが大きかった。ティラドが大きく売られ、関東電化工業も安い。
