5日午前の日経平均株価は続伸し、前引けは前週末比521円61銭(1.65%)高の3万2045円83銭だった。上げ幅は一時550円を超えた。取引時間中に3万2000円を上回るのは1990年7月以来、およそ33年ぶり。
前週末の米国株市場でNYダウが700ドルあまりの上昇で今年最大の上げ幅を記録したことを受けリスクオンの流れが加速、日経平均株価はフシ目の3万2000円台ラインを突破した。米国では債務上限問題を巡る関連法案が上下両院で可決されたことで懸念が払拭されたほか、5月の米雇用統計を受けて次回FOMCでの利上げ見送りの可能性が意識され、買いを呼び込んだ。東京市場でも買い主体となっていた海外マネーの流入が一段と強まり、全体相場を押し上げている。
米連邦政府の債務上限を停止する法案は1日までに上下両院で可決された。米国の債務不履行(デフォルト)が回避されたことが好感され、前週末の米株式市場でダウ工業株30種平均は今年最大の上げ幅となった。投資家心理が強気に傾き、海外勢が日経平均先物への買いを強めた。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」が4日に協調減産の延長を決め、原油先物相場が急伸。石油関連株にも買いが集まった。
米国でも、株価指数先物取引および株価指数オプション取引、個別株オプション取引の3つの取引期限満了日が重なるトリプルウィッチング(米国版メジャーSQ)が近づくまでは良好な需給環境が株価の上昇をもたらすことが予想される。しかし、米VIX指数の15割れはやや楽観に傾き過ぎている印象も拭えない。目先は強気維持でも日米のSQ通過後の基調転換には注意したい。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。午前終値は前週末比29.18ポイント(1.34%)高の2211.88だった。
東証業種別では33業種中、電気・ガスを除く32業種が上昇した。外国為替市場では円相場が1ドル=140円台と円安・ドル高に振れ、採算改善を期待して自動車や機械など輸出関連株に上昇が目立った。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆9049億円、売買高は7億3552万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1590と、全体の約87%を占めた。値下がりは221銘柄、変わらずは23銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)では繊維製品、機械、鉱業の上昇が目立った。下落は電気・ガス業のみだった。
個別では、レーザーテック、アドバンテストなどの半導体主力株のほか、ソフトバンクグループが上値指向を継続、中国が不動産市場を支える新たな一連の措置を検討との報道を受け、コマツ、日立建機の建機関連、神戸製鋼所、JFEの鉄鋼、三菱マテリアル、DOWAの非鉄金属、三井物産、三菱商事の商社のほか、安川電機、SMCなどの中国売上比率の高い銘柄が軒並み高。政府の水素供給網の整備に向けた方針を材料に岩谷産業、川崎重も大きく上昇。「OPECプラス」による協調減産の2024年末までの延長およびサウジアラビアによる日量100万バレルの追加減産を受け、INPEX、石油資源開発も高い。ユーザーローカル、ブレインパッドといった人工知能(AI)関連株の上げ足も際立っている。
半面、東京電力ホールディングスが冴えず、ニトリホールディングスが下落、アインホールディングスは急落した。このほか、FOOD & LIFE COMPANIESも安い。ニデックや楽天グループ、東電HDは下落した。
今期が減益見通しで市場予想を大幅に下振れたアインHDは東証プライム市場の値下がり率トップ。ほか、値下がり率上位にはピックルスHD、リニカル、F&LCなどが並んでいる。
