11日午前の日経平均株価は続伸し、前日比380円20銭(1.38%)高の2万8013円86銭で前場を終えた。
きょう前場は買い優勢で始まり、前場取引終盤になって日経平均は上げ幅を一気に拡大した。きょうは朝方からリスク選好ムードだった。前日の米国株市場でNYダウが強い動きを示していたことから投資家のセンチメントが改善、外国為替市場で円安が進行したことも輸出セクターを中心に追い風となった。
日銀が早期に政策修正に動くとの観測が後退したことが相場の支えとなった。取引終盤には著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、大手新聞のインタビューで日本株投資に意欲をみせたことが伝わり、全体指数を一段と押し上げる形となった。日経平均は一時400円を超える上昇を示し、前引け時点でも380円あまりの上昇で2万8000円台に乗せている。
日銀の植田和男総裁が10日に開いた就任会見では現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)などを維持する姿勢を示した。大規模な金融緩和策の早期修正観測が後退し、円の対ドルでの先安観を強め、輸出関連株には買いが優勢となった。
前日に米半導体大手のマイクロン・テクノロジーが大幅高になったことなどを背景に、値がさの半導体関連株が買われたことも相場を押し上げた。
ただ、ハイテクでは先週末に発表された安川電機の決算もやや気掛かりだ。こちらも四半期ベースの受注高をみると減少トレンドが鮮明で底入れしたとはまだ判断しにくい。半導体分野の影響が大きいACサーボモーターの受注は依然として低水準で調整継続しているほか、電気自動車(EV)投資の恩恵が大きいとされているロボット受注も前年同期比および前四半期比で減速している。今期見通しも市場コンセンサスを上回ったが、楽観的な印象が拭えないのか、前日の株価は下落、本日も反発は鈍い。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆1803億円、売買高は4億9198万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1385、値下がりは354、変わらずは96銘柄だった。
業種別株価指数(全33業種)では卸売業、精密機器、電気機器の上昇が目立った。下落は空運業、水産・農林業、医薬品の3業種だった。
個別では、米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅反発を受けて東エレク、アドバンテスト、スクリンの半導体のほか、太陽誘電、新光電工、三井ハイテック、TDKなどのハイテクが大きく上昇。伊藤忠、三菱商、三井物産、丸紅など商社も総じて高い。大幅増益決算が評価されたSHIFTが急騰し、好決算や新中期経営計画などが好感されたライフコーポも急伸。USENNEXTも好決算が評価された。ほか、月次業績を手掛かりにMonotaROが、決算を受けたあく抜け感や既存店売上高を材料にコスモス薬品が大幅高となった。
一方、第一三共、武田薬の医薬品、JR東海、JR東、小田急、京王、JAL、ANAなど、ディフェンシブやリオープン(経済再開)の一角が軟調。ライク、東京個別指導学院は決算が嫌気されて大幅安。サカタのタネも決算を受けて売られた。子会社の業績下方修正を材料にHEROZは急落している。GSユアサが売られた。
