21日のNYダウ工業株30種平均は4日ぶりに小幅に反発し、前日比22ドル34セント(0.1%)高の3万3808ドル96セントで終えた。
米家庭用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が朝方発表した決算発表で、2023年6月期の通期売上高見通しを上方修正した。インフレの中でも堅調な売り上げを見込んだことを好感し、株価が大きく上昇。ダウ平均の下支えとなった。
ただ、週明けにはマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなど、時価総額が大きい巨大IT企業の決算発表を控え、積極的な売買はみられず、ダウ平均は方向感を欠く展開となった。米シリコンバレー銀行などの破綻を背景にした金融不安で、「企業業績への期待値が下がっているため、堅調な決算が示されれば、買われる可能性もある」との声もあった。
午前発表の4月の米製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)は50.4と市場予想(49.0)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化し景気が悪化するとの懸念が重荷となり、下げる場面もあった。米金利先物の値動きから米金融政策を予想する「フェドウオッチ」によると、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決める確率は21日夕時点で80%台後半まで上昇した。
市場では「FRBが5月に0.25%の利上げを決めるとの見方がある程度織り込まれている。投資家の関心はFOMC後の動きへと移っている」との声が聞かれた。
ダウ平均の構成銘柄ではスポーツ用品のナイキやホームセンターのホーム・デポなどが上昇。一方、石油のシェブロン、医療保険のユナイテッドヘルス・グループ、半導体のインテルなどが下げた。
ナスダック総合株価指数は小幅に反発した。前日比12.898ポイント(0.1%)高の1万2072.456で終えた。アマゾン・ドット・コムは3%上昇した。高級車種の値上げを発表した電気自動車のテスラも買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比70円高の2万8675円で引けた。NYダウ平均は、週明けに予定されている巨大IT企業の決算発表を控えて様子見姿勢が広がる中、小反発した。同日のダウ平均が小幅ながら上昇し、日経平均先物にも買いが及んだ。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
21日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ11.52ポイント(0.15%)高の7914.13と、3月8日以来およそ1カ月半ぶりの高値で終えた。外国為替市場で英ポンドが対ドルで下落した。売上高に占める米国比率が高い銘柄が多い医薬品や飲食料品・たばこセクターが上昇し、指数を押し上げた。
半面、金融引き締め継続による需要懸念の根強さから資源セクターに売りが出て下げる場面もあった。
個別では、投資会社メルローズ・インダストリーズから分社化されたダウライス・グループが4.3%高で上昇率トップ。医療機器大手スミス・アンド・ネフューが2.5%高、衣料小売り大手ネクストと工業・電子製品大手RSグループが2.3%高で続いた。一方、資源株は売られ、アングロ・アメリカンは6.0%安、リオ・ティントは5.7%安、アントファガスタは2.8%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
21日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ85.69ポイント(0.54%)高の1万5881.66で終えた。21日発表の2023年1~3月期決算で売上高が市場予想を上回ったソフトウェアのSAPが前日比5%強高で終えるなどハイテク株の一角が買われた。
20日の取引終了後に23年1~3月期に好調な業績を達成したとの速報値を発表した自動車のメルセデスベンツ・グループも上昇し、自動車株全般に買いが波及した。
個別では、業務用ソフトウエア大手SAPが5.2%高と急伸。医薬大手メルクが3.8%高、医療サービス大手フレゼニウス・メディカルケアも2.0%高と買われた半面、化学のBASFは2.0%安、商用車のダイムラー・トラックと航空機のエアバスはともに1.5%安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.51%高(同0.76%高)だった。
