25日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比344ドル57セント(1.0%)安の3万3530ドル83セントで終えた。
24日夕に決算を発表した地域銀行で大規模な預金流出が明らかになった。地銀が融資に慎重になり、景気に悪影響が及ぶのではないかとの不安が再燃し、消費関連株や景気敏感株に売りが広がった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行は前日夕、3月末時点の預金残高が1045億ドル(約14兆円)となり、昨年末から4割減少したと発表した。これを受け、市場では地銀経営への不安が拡大。融資縮小などを通じて景気を下押しするとの懸念が強まり、金融株や景気敏感株を中心に売られた。
ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーションなど他の地銀株にも売りが波及し、地銀株で構成する上場投資信託(ETF)「SPDR S&P地銀ETF」は4%下げた。
朝方に決算を発表した物流のUPSは2023年12月期業績に慎重な見通しを示した。景気減速によって、米国だけでなく世界的に荷動きが鈍っているとの見方も重荷となった。空運や鉄道などを含むダウ輸送株平均は3%超下落した。
米調査会社コンファレンス・ボードが発表した4月の消費者信頼感指数は前月から2.7ポイント低下し、101.3となった。市場予想の104.0を下回り、景気への不安を高める要因となった。
ダウ構成銘柄では、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやスポーツ用品のナイキなどの消費関連株、建機のキャタピラーや航空機のボーイングといった景気敏感株が下げた。25日朝に決算を発表した化学のダウの下げも大きかった。一方、医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンや医療保険のユナイテッド・グループといったディフェンシブ株の一部が買われた。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比238.047ポイント(2.0%)安の1万1799.157で終えた。主力ハイテク株の決算を控え、業績下振れへの警戒から売りが優勢だった。
【シカゴ日本株先物概況】
25日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比345円安の2万8370円で終えた。
NYダウ平均は、大規模な預金流出が明らかとなった米地方銀行の決算を受けて景気後退懸念が強まり、反落した。
米景気に悪影響が及ぶとの懸念から同日の米株式相場が下落。日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28370 ( -250 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28400 ( -220 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7891.13(-21.07)
25日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ21.07ポイント(0.27%)安の7891.13で終えた。欧米中央銀行の利上げ継続による世界景気の下押し懸念がくすぶっている。非鉄金属や原油相場が下落しており、資源やエネルギーセクターに売りが出た。米地銀経営を巡る不安感が投資家心理を冷やし、銀行セクターも売られた。
6割近くの銘柄が下落。個別では、決算内容が嫌気された食品・小売り大手アソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズが4.2%安と下落率トップだった。資源大手グレンコア(3.6%安)や石油大手シェル(1.5%安)のほか、バークレイズ(1.8%安)など銀行株もさえなかった。
一方、決算が市場予想を上回った外食・ホテル大手ウィットブレッドは4.3%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15872.13(+8.18)
25日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に反発した。前日に比べ8.18ポイント(0.05%)高の1万5872.13で終えた。収益拡大への期待からソフトウエアのSAPが前日比2%強高となり、指数の上昇をけん引した。商用車大手ダイムラー・トラック(2.9%高)や総合電機大手シーメンス(1.2%高)が堅調だった。
半面、米地銀経営を巡る不透明感が改めて広がるなか、ドイツ銀行(3.8%安)やコメルツ銀行(2.9%安)は売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7531.61(-42.25)
フランスCAC40種指数は0.56%安だった。商品相場の下落も相場の重しとなった。
