14日のNYダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前日比336ドル26セント(1.1%)高の3万2155ドル40セントで終えた。
シリコンバレー銀行など米中堅銀行2行の破綻を受けて前週末以降続いていた売りが、この日は一服。当局が既に破綻行の預金の全額保護などに動き、「追加の破綻は限られる」との見方から、銀行の健全性を巡る市場の不安が徐々に和らいだ。
ダウ平均が前日までの5営業日で計1600ドル以上下落していたため、買い戻しも入りやすかった。
ダウ平均の上げ幅は一時480ドルを超えた。金融システムを巡る不透明感が重荷となり、このところ下げがきつかった金融株が上昇した。「破綻が回避されるなら売られすぎ」とみた買いが入り、一部のヘッジファンドの銀行株買いが伝わったのも好感された。ダウ平均の構成銘柄ではないがファースト・リパブリック・バンクは27%高、ネット証券のチャールズ・シュワブは9%高となった。銀行株の株価指数、KBWナスダック銀行株指数は3%上昇した。
朝方発表の2月の消費者物価指数はエネルギー・食品を除くコア指数が前月比0.5%上昇と市場予想(0.4%上昇)を小幅に上回ったが、前年同月比では5.5%上昇と市場予想と同じだった。
CPIを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が来週の金融政策会合で0.25%の利上げを決めるとの見方が、市場で大勢となっている。足元の金融情勢悪化を受けて、FRBが政策金利を据え置くとの見方も一部で浮上。いずれにしても、0.50%の大幅利上げの可能性がなくなったとみられていることが、株価の追い風になった。
ただ、買い一巡後は上げ幅を縮める展開だった。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、米国の銀行システム全体の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。米国の金融シテムに対する不安感は根強く、相場の重荷となった。
顧客情報管理のセールスフォース、半導体のインテル、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスの上げが目立った。一方、バイオ製薬のアムジェンやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスなどディフェンシブ株が下げた。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比239.306ポイント(2.1%)高の1万1428.149で終えた。電気自動車のテスラ、半導体のエヌビディアが上げた。追加の人員削減計画を発表した交流サイトのメタプラットフォームズは7%高で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比50円高の2万7210円で引けた。米地銀の経営破綻に端を発する信用不安がやや和らぎ、6営業日ぶりに反発した。このところ軟調だった米主要株価指数が上昇し、日経平均先物にも買いが入った。米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻を受けた金融システムを巡る不安から、2万6840円まで下落する場面もあった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7637.11(+88.48)
14日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発した。前日に比べ88.48ポイント(1.17%)高の7637.11で取引を終えた。14日の米株式市場で銀行株が上昇し、投資家心理が好転した。ロンドン市場では前日に大幅安となっていたエネルギー株や銀行株が買い直された。
個別では、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが7.0%高と上昇率トップ。オンライン食品販売オカド・グループ(4.1%高)やエネルギー小売大手セントリカ(3.4%高)、航空・防衛大手BAEシステムズ(3.3%高)も買われた。バークレイズ(3.1%高)など銀行株も堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15232.83(+273.36)
14日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに大幅に反発した。前日に比べ273.36ポイント(1.83%)高の1万5232.83で終えた。14日の米株式相場の上昇で、米銀行の破綻をきっかけにした金融システム不安がやや後退し、自動車株や銀行株など幅広い銘柄が買い直された。前日の大幅安で、自律反発を期待した買いも入りやすかった。
個別では、ポルシェ(5.6%高)が上昇率トップ。コメルツ銀行(4.4%高)やドイツ銀行(4.3%高)も買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7141.57(+130.07)
フランスCAC40種指数は1.86%高だった。米シリコンバレー銀行(SVB)など米銀の破綻の影響拡大への警戒感から下落して始まったものの、リスク回避ムードが徐々に後退し、上昇に転じた。
