66円安と反落、米金融システム不安と円高

 
23日午前の日経平均株価は反落し、前日比66円24銭(0.24%)安の2万7400円37銭で前場を終えた。
きょう前場は売り先行で始まり、朝方に日経平均は2万7100円台まで売られたが、その後は一貫して下げ渋る展開となった。前日の米国株市場ではFOMC通過後に相場が崩れ、NYダウは530ドルあまりの大幅安となったことから、東京株式市場でもリスク回避の売り圧力が強まった。
外国為替市場でドル安・円高が進んだことも警戒され幅広い銘柄に売りが広がったが、半導体関連株が底堅さを発揮し切り返す銘柄が相次いだことで投資家心理が改善、全体相場も戻り足に転じている。一方、メガバンクや大手生保株などには売りが目立つ。
 
イエレン米財務長官がすべての預金への保護対象の拡大や保護金額の上限引き上げに否定的な考えを示したことなどをきっかけに、22日の米株式相場は大幅に下落した。23日の東京株式市場でも三菱UFJなど銀行株には売りが膨らんだ。
 
米連邦準備理事会(FRB)が22日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の0.25%引き上げを決めた。声明文の文言が修正されたことやパウエルFRB議長の会見での発言などをきっかけに、市場では早期の利上げ打ち止め観測が強まった。日米金利差の縮小が意識され、円相場が日本時間23日午前、1ドル=130円台後半まで上昇したことは下押し圧力となった。
 
半面、日本時間23日午前の取引でダウ工業株30種平均の先物「Eミニ・ダウ先物」の6月物が堅調で、前引けにかけて一時120ドル超上昇した。米株価指数先物の上昇につれ、日経平均は下げ幅を縮めた。米長期金利の低下や、米半導体銘柄の株価上昇などを背景に値がさの半導体関連株の一角が買われたことも相場を下支えした。
 
東証株価指数(TOPIX)は反落した。前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆2446億円、売買高は5億1661万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1036と、全体の6割弱を占めた。値上がりは703、変わらずは97銘柄だった。
 


業種別株価指数(全33業種)では医薬品、銀行業、保険業の下落が目立った。上昇はゴム製品、サービス業、空運業など。
 
個別では、三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクが軟調、第一生命HD、コンコルディの下げが目立った。キーエンス、ファーストリテイリング、楽天グループ、エーザイも冴えない。武田薬品工業は売りが優勢。HEROZが大きく利食われ、冨士ダイスも大幅安。レオパレス21、ラクスルなどの下げも目立っている。
 
半面、アドバンテストは22年ぶりの高値を更新した。東京エレクトロンなど半導体製造装置関連が高く、ソシオネクストも堅調。日本ハム、リクルートホールディングスも買い人気を集めた。メガチップスが急騰、アイスタイル、RPAホールディングスも値を飛ばした。
 
個別銘柄戦略としては、内需系のセクターを中心にした投資が有効といえそうだ。医薬品や食料品といったディフェンシブ性の高いセクターはもちろんだが、食料品は特に昨年からの値上げ路線継続とコスト高の一服による採算改善が期待される。また、情報・通信やサービスといった内需系のグロース株も相対的な妙味が高いと考える。米国では今後、銀行の貸し出し意欲の低下などを通じて信用収縮の影響が徐々に実体経済を蝕むことが想定され、このシナリオに基づくならば米長期金利は上昇しにくい。こうした金利先高観の後退がグロース株のサポート要因となりそうだ。

 

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