ダウ続伸、米積極利上げ姿勢後退観測

24日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比132ドル28セント(0.4%)高の3万2237ドル53セントで終えた。同日の欧州株式市場で大手銀行株が下落したことを受け、米株式相場も下げて始まった。一方、24日にセントルイス地区連銀のブラード総裁が金融ストレス抑制に前向きな見方を示した。金融システム不安による景気悪化への過度な警戒が和らぎ、ディフェンシブ株を中心に買いが広がった。

米ブルームバーグ通信は前日、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)が経済制裁を逃れるのを手助けした可能性があるとして、米司法省がスイス金融大手クレディ・スイスとUBSを調査していると報道。両社株の売り要因となったほか、ドイツ銀行の経営状況にも懸念が広がり、朝方のダウは金融株主導で軟調な値動きを示した。

24日の欧州市場では信用不安の拡大や景気悪化による収益の落ち込みへの懸念から、ドイツ銀行など主要銀行株が売られた。朝方の米株市場でもリスク回避を目的とした売りが金融株を中心に出ていた。

ダウ平均は一時300ドルほど下げたが、売り一巡後はディフェンシブ株を中心に買い直され、上昇に転じた。
ブラード氏は24日の講演で、中堅銀行の経営破綻が相次ぐ中で金融システムの安定を目的とするマクロプルーデンス政策の対応は「迅速かつ適切だった」と強調。ロイター通信によると、金融ストレスを抑えこめる確率は8割程度との見方を示した。

市場では「週末を前に積極的な売買を控える投資家が多いなか、ブラード氏の発言が株式相場の支えとなった」との見方があった。

この日発表された2月の耐久財受注は市場予想を下回り、2カ月連続でのマイナス。一方、S&Pグローバルによる3月の米購買担当者景況指数(PMI)速報値は総合で前月から上昇しており、まちまちの内容だった。

個別では、バイオ製薬のアムジェンや医薬・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン、製薬のメルクなどディフェンシブ株の上昇が目立った。一方、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融株は下げた。

ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比36.562ポイント(0.3%)高の1万1823.960で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルなどが上げた。

 


【シカゴ日本株先物概況】

24日のシカゴ日経平均先物は続伸した。6月物は前日比90円高の2万7115円で引けた。NYダウは、積極的な米利上げ姿勢の後退観測が支援材料となる中、続伸した。同日の米株式相場が上げに転じると、日経平均先物も買いが優勢となった。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)

27115 ( -65 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27180 ( 0 )
 
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

24日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ94.15ポイント(1.26%)安の7405.45で引けた。欧米の金融システム不安への警戒が高まるなか、同日の欧州株式市場で主力の銀行株が大幅に下落し、投資家心理が悪化。ロンドン株式市場でも景気悪化の懸念で、銀行のほか、エネルギーや資源関連に売りが出た。

個別では、スタンダード・チャータードが6.4%安と下落率トップ。バークレイズ(4.2%安)やHSBCホールディングス(2.6%安)、ロイズ・バンキング・グループ(2.4%安)など銀行株は軒並み下げた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数

24日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比253.16ポイント(1.66%)安の1万4957.23で終えた。金融システム不安への警戒が高まる中でドイツ銀行の株価が急落し、銀行を中心に幅広い銘柄の売りに波及した。

ウクライナに侵攻したロシアへの制裁を巡って米司法省がスイス金融大手を調査していると伝わり、ドイツ市場でも銀行株の重荷となった。24日発表の3月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)は54.1と前月(52.0)から上昇した。欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めが長期化するとの観測がドイツ株を下押しした面もある。

個別ではドイツ銀行が8.5%安と下落率トップ。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が急伸したのをきっかけに売り込まれ、一時14%下落した。コメルツ銀行も5.5%安と下げた。

■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は1.74%安だった。
欧州の金融システムへの警戒感が再び高まり、銀行株を中心に売りが優勢となった。個別ではソシエテ・ジェネラルが6.1%安、BNPパリバが5.3%安と売られた。

 

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