3日続伸194ドル高、金融システム不安後退

27日のNYダウ工業株30種平均は3営業日続伸し、前週末比194ドル55セント(0.6%)高の3万2432ドル08セントで終えた。

米連邦預金保険公社(FDIC)は26日、経営破綻した米中堅銀行シリコンバレー銀行(SVB)について、米地方銀行ファースト・シチズンズ銀行が買収すると発表した。また、経営不安に陥っている米地方銀行ファースト・リパブリック銀行の支援を念頭に、米当局が銀行への資金供給策の拡充を検討しているとブルームバーグ通信が報じた。

SVBの破綻をはじめ、米欧の銀行の破綻や経営懸念が今月に入り相次いで明らかになったことで、信用不安が拡大。金融市場で神経質な取引が続いた。この日は発表や報道を受けて、信用不安が金融システム全体に広がることへの懸念が和らぎ、中堅銀行を筆頭に金融株に買いが入った。原油高を好感してエネルギー株も大きく買われ、株価全体をけん引した。

JPモルガン・チェースは3%高、ゴールドマン・サックスは2%高で終えた。ダウ平均の構成銘柄以外ではファースト・リパブリック・バンクやコメリカなど地銀株が大幅高となった。

27日の欧州株式市場では、信用不安の拡大や収益の落ち込みへの警戒から前週末に大きく売られたドイツ銀行株が反発した。欧州大手銀の株安懸念も和らいだことも、投資家心理の改善につながった。

貸し出し環境が厳しくなり景気が悪化することへの警戒も和らぎ、景気敏感株や消費関連株も買いが優勢になった。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや小売りのウォルマート、航空機のボーイングが高い。

一方、ハイテク株の一角は売られた。米長期金利が上昇し、相対的な割高感が意識されやすかった高PER(株価収益率)銘柄には売りが出た。ソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルが安い。

ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前週末比55.124ポイント(0.5%)安の1万1768.836で終えた。ネット検索のアルファベットや交流サイトのメタプラットフォームズが安い。

 


【シカゴ日本株先物概況】

27日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比210円高の2万7325円で引けた。経営破綻した米シリコンバレーバンク(SVB)の引受先が決まり、金融システム不安を巡る懸念が後退するなか堅調に推移した。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27325 ( +55 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27390 ( +120 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7471.77(+66.32)

27日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前週末に比べ66.32ポイント(0.90%)高の7471.77で取引を終えた。欧米の銀行株が上昇しており、金融不安への懸念がひとまず後退した。景気悪化への警戒も和らぎ、金融株やエネルギー株などが買われた。
個別では、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループが4.3%高と上昇率トップ。バークレイズ(2.3%高)やHSBCホールディングス(1.3%高)、ロイズ・バンキング・グループ(1.3%高)など銀行株は軒並み堅調だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15127.68(+170.45)

27日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。前週末に比べ170.45ポイント(1.14%)高の1万5127.68で終えた。経営破綻した米シリコンバレーバンク(SVB)の引受先が26日に決まったほか、米当局による一段の銀行支援検討が伝わるなど、金融システム不安への過度な警戒感が後退した。前週末に急落していた銀行株が買い直された。

個別では、前週末に急落したドイツ銀行が6.2%高と急反発し、上昇率トップ。コメルツ銀行も3.8%高と買われた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7078.27(+63.17)

フランスCAC40種指数は0.90%高だった。
金融不安に伴うリスク回避ムードが和らぎ、銀行株を含め幅広い銘柄に買いが入った。BNPパリバは2.6%高、ソシエテ・ジェネラルは0.3%高だった。

 

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