29日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比323ドル35セント(1.0%)高の3万2717ドル60セントで終えた。3週間ぶりの高値。米欧の金融システムへの不安が一段と和らぎ、消費関連株や金融株などに買いが入った。米長期金利の上昇がひとまず一服したのも、高PER(株価収益率)のハイテク株買いを誘った。
米半導体大手マイクロン・テクノロジーは前日夕の決算発表の中で、「半導体の需給バランスは徐々に改善に向かう。長期的な需要に自信を持っている」(メロトラ最高経営責任者)と説明し、業績が改善するとの見通しを示した。市場では、半導体関連株が大幅に上昇。ハイテク株全体に波及し、相場を押し上げた。
米金融当局が銀行の支援策を拡充する方針を示すなか、金融システム不安が市場全体に広がる動きはいまのところみられていない。銀行の融資態度が厳しくなり、景気が悪化するとの懸念はやや和らいでいる。3月に入り、大きく上昇していた米株の変動性指数(VIX)も不安心理が高まった状態とされる20を下回っている。
市場では「債券相場の下落が落ち着き、株買いにつながった」との声も聞かれた。米長期金利は3.5%台で推移し、前日までの上昇が一服した。ハイテク株買いを後押しした。
ダウ平均の構成銘柄では、半導体のインテルが大幅高。新製品の発売計画を明らかにしたことが手がかりとなった。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやスポーツ用品のナイキ、スマートフォンのアップルも上昇した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前日比210.155ポイント(1.8%)高の1万1926.236と、およそ1カ月半ぶりの高値で終えた。半導体のマイクロン・テクノロジーが上昇。28日の決算と同時に示した見通しが半導体市況の改善を示すとの期待から買われた。電気自動車のテスラ、半導体のエヌビディアも上げた。
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比575円高の2万7805円で引けた。NYダウは、半導体需要の拡大見通しを受けて買われたIT銘柄がけん引し、反発した。欧米の金融システムを巡る不安が後退しているのを背景に同日の米株式相場が上昇し、日経平均先物にも買いが入った。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27805 ( +215 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27860 ( +270 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
