10日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比169ドル39セント(0.5%)高の3万3869ドル27セントで終えた。
今月に相次いだ堅調さを示す雇用関連指標や、パウエルFRB議長の利上げ継続姿勢を受け、市場では、FRBの利上げ停止や利下げ開始が遠のき、金融引き締めが長期化するとの観測が広がっている。債券市場では、長期金利が上昇している。
この日発表された米ミシガン大学が発表した2月の景況感指数が66.4と前月から上昇。市場予想を上回り、1年1カ月ぶりの高水準となったことも、利上げ長期化への懸念に拍車を掛けた。
この日のダウ平均は、下落して取引開始。金利上昇局面で売られやすいハイテク株が下落した。映画・娯楽のウォルト・ディズニー、クレジットカードのビザなど消費関連株の一角も売られ、ダウ平均は朝方は下げる場面があった。
ただ、景気変動の影響が少ないディフェンシブ株を中心に買い戻す動きが強まり、上昇に転じ、引けにかけて上げ幅を広げた。前日、前々日に下落した反動もあり、景気敏感株の一角にも買いが入った。
ディフェンシブ株が堅調で、医療保険のユナイテッドヘルス・グループや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は上昇し、ダウ平均を押し上げた。ロシアの減産表明で原油先物相場が上げ、原油高になると買われやすい石油のシェブロンや建機のキャタピラーが上昇した。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比71.459ポイント(0.6%)安の1万1718.120で終えた。業績見通しが失望された配車サービスのリフトが急落。電気自動車のテスラも下がった。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は続伸した。3月物は前日比45円高の2万7585円で引けた。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日のFTSE100種総合株価指数は4日ぶりに反落した。前日に比べ28.70ポイント(0.36%)安の7882.45で引けた。10日のアジア株安を受けて売りが優勢だった。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの観測が後退、投資家がリスク回避姿勢を強め、相場を下押しした。
前日に急伸した銀行大手のスタンダードチャータードの下落が目立った。「アラブ首長国連邦(UAE)のファースト・アブダビ・バンクがスタンダードチャータードに買収を提案するとの報道を否定した」とロイター通信などが報じたのが理由。原油高を受けてBPやシェルなどエネルギー株に買いが入り、指数を下支えした。構成銘柄の8割強が下落した。
個別では、オンライン食品販売オカド・グループが11.3%安と急落したほか、金融大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)が5.0%安、段ボール大手スマーフィット・カッパが4.5%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も4.5%安。一方、石油大手シェルは3.0%高、同業BPは2.6%高、製薬大手アストラゼネカは1.8%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落し、前日比215.44ポイント(1.39%)安の1万5307.98で終えた。スポーツ用品のアディダスが2023年は大幅な減収減益になる見込みだと発表して株価が急落し、指数を下押しした。米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ停止観測が後退し、投資家のリスク回避姿勢が強まってるのも相場の重荷だった。
個別では、スポーツ用品大手アディダスが10.9%安、通販大手ザランドが7.1%安、自動車部品大手コンチネンタルが3.3%安。半面、人工透析企業フレゼニウス・メディカルケアは2.1%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.82%安(同1.44%安)だった。
各国中央銀行による金融政策の引き締めが長期化するとの観測が強まり、株価の重しとなった。
