24日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比336ドル99セント(1.0%)安の3万2816ドル92セントで終えた。昨年12月中旬以来の安値。
朝方発表された1月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比5.4%上昇と、伸び率が7カ月ぶりに加速した。変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数も、伸びが加速して4.7%上昇となり、市場予想(4.4%上昇)を上回った。
米金融大手はPCEを受けて、「FRBがより一層かつ、より長期の利上げを強いられる可能性がある」と指摘した。FRBの金融引き締め強化で景気悪化リスクも高まるため、市場では寄り付きから売りが広がった。
その後発表された1月の米新築住宅販売件数や2月のミシガン大消費者信頼感指数(確報値)が市場予想を上回ったことも、利上げ局面長期化を意識させ、ダウ平均の下げ幅は一時500ドルを超えた。
米債券市場では長期金利が上昇し、一時は前日比0.09%高い3.97%を付けた。長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株への売りが目立った。ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが2%安となった。
景気悪化への懸念からスポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株も売られた。主力民間機の出荷の一時停止が伝わった航空機のボーイングは5%安で終えた。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日比195.459ポイント(1.7%)安の1万1394.942と、約1カ月ぶりの安値となった。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットなど主力株が総じて売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
24日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比100円高の2万7330円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が上昇し、日経平均先物にも買いが波及した。
ただ、NYダウは、予想を上回る伸びを示した物価関連指標を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが長期化するとの懸念が強まり、反落した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27330 ( -50 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27335 ( -45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
24日のFTSE100種総合株価指数は4日続落した。前日に比べ29.06ポイント(0.37%)安の7878.66で終えた。欧米中銀の利上げ継続が景気悪化を招くとの警戒感から、資源株が売られた。消費への悪影響も懸念され、消費者サービスや小売りなど消費関連銘柄にも売りが出た。
構成銘柄の約6割が下落した。個別では、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が6.5%安と最も大きく売られ、賭け屋大手フラッター・エンターテインメントが6.2%安、鉱業大手アングロ・アメリカンが5.4%安で続いた。一方、金融大手M&Gは7.0%高、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは2.2%高、航空・防衛大手BAEシステムズは1.8%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
24日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに大幅に反落した。前日に比べ265.95ポイント(1.72%)安の1万5209.74で終えた。24日発表のドイツの2022年10~12月期の実質国内総生産(GDP)確報値が前期比0.4%減と市場予想を下回った。ドイツ景気の後退懸念が再び浮上し、幅広い銘柄に売りが出た。
欧米中銀の利上げが長期化するとの観測から、ドイツ長期金利が上昇したのも重荷だった。
個別では、化学大手BASFが7.9%安、不動産大手ボノビアが5.0%安、半導体大手インフィニオンが3.5%安。半面、産業ガス大手リンデは2.0%高、ドイツ取引所は0.9%高、ミュンヘン再保険は0.3%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.78%安だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて利上げを長期化させるとの観測が台頭。株式などリスク資産を売る動きが広がった。