13日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比112ドル64セント(0.3%)高の3万4302ドル61セントで終えた。連日で12月上旬以来の高値となった。
朝方に決算を発表した主要銀行が経済の先行きに慎重な見方を示し、景気悪化を懸念した売りが先行した。一方、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速観測は根強く、売り一巡後は主力株を中心に買い直された。
金融大手数社の昨年10~12月期決算が市場予想を上回る内容だったため、金融株に買いが集まり、相場を下支えした。JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴは、いずれも調整後1株当たり利益が市場予想を上回った。
一方、デルタ航空や、ダウ平均構成銘柄であるユナイテッドヘルス・グループは、同四半期の1株当たり利益が予想を上回ったものの、売りが優勢だった。
JPモルガン・チェースの経営陣は決算説明会で米経済が緩やかな景気後退に入るとの慎重な見方を示した。ダウ平均の構成銘柄ではないが、決算を発表した同業のバンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴなども景気悪化に備える姿勢を示し、投資家心理の悪化につながった。米市場は週末を挟んで3連休を控えていたこともあり、利益確定や持ち高調整の売りも先行した。ダウ平均の下げ幅は一時270ドルを超えた。
売り一巡後は下げ渋り、上昇に転じた。13日午前にミシガン大学が発表した1月の米消費者態度指数(速報値)で消費者が予想する1年先のインフレ率は4%と2022年12月(4.4%)から低下した。前日に発表された22年12月の米消費者物価指数(CPI)はインフレ鈍化を示しており、FRBが利上げペースを緩めるとの見方が米株相場を支えた。
朝方は慎重な見通しを受けて売りが先行したJPモルガン・チェースは次第に買い優勢に転じ、2%高で終えた。22年10~12月期決算で1株利益が市場予想を上回り、「想定よりも悪くない内容」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との受け止めが改めて広がった。スマートフォンのアップルや建機のキャタピラーも買われた。一方、前日に買いが目立った映画・娯楽のウォルト・ディズニーは下げた。
ナスダック総合株価指数は6日続伸し、前日比78.052ポイント(0.7%)高の1万1079.157と、ほぼ1カ月ぶりの高値で終えた。6日続伸は11日続伸した21年10~11月以来、1年2カ月ぶり。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや画像処理半導体のエヌビディアが買われた。半面、欧米で値下げしたと伝わった電気自動車のテスラは下落した。
【シカゴ日本株先物概況】
13日の日シカゴ経平均先物は続落した。3月物は前日比405円安の2万5790円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が下落し、日経平均先物も売られた。外国為替市場で円高・ドル安が進み、輸出企業の収益悪化への懸念も重荷となった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
25790 ( -290 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
25820 ( -260 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
13日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ50.03ポイント(0.64%)高の7844.07と、2018年5月以来4年8カ月ぶりの高値で引けた。22年11月の英国内総生産(GDP)が前月比で市場予想に反して増加するなど、英景気の悪化懸念が薄らいだ。インフレ減速観測から欧米中央銀行の金融引き締めペースが鈍化するとの見方も根強く、投資家心理を支えた。
構成銘柄の6割強が上昇。個別では、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが4.6%高と上昇率が最も大きかった。このほか、ヘイリオン(製薬大手グラクソ・スミスクラインから分離)が3.6%高、通信会社エアテル・アフリカが3.6%高、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が2.9%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
13日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸した。前日に比べ28.22ポイント(0.19%)高の1万5086.52と、連日で2022年2月中旬以来11カ月ぶりの高値で終えた。インフレ減速観測や独長期金利の上昇が抑制されていることから独景気の悪化懸念が薄れている。ハイテク株や化学株に買いが入った。
一方、米テスラが米欧で電気自動車(EV)の販売価格を引き下げたと伝わった。販売競争が激化するとの懸念から自動車株の一角が下落し、指数の上値を抑えた。
個別では、製薬会社サルトリアスが2.7%高、同業バイエルが1.8%高、通販大手ザランドが1.7%高。半面、自動車株は売られ、ダイムラー・トラックは3.7%安、フォルクスワーゲン(VW)は2.8%安、ダイムラーは2.7%安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.69%高だった。
この日発表された英国の昨年11月の国内総生産(GDP)が前月比0.1%増と予想外のプラスになったことを好感し、他の欧州株もつれ高となった。
