28日午前の日経平均株価は反落し、前引けは前日比156円91銭(0.59%)安の2万6290円96銭だった。
前日の米国株市場で半導体関連などハイテク株が売られたことを受け、主力どころを中心に見送りムードが強まった。東京株式市場でもグロース(成長)株を中心に売りが優勢だった。
ナスダック総合株価指数が前営業日に比べ1.4%下げたほか、主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.8%下落した。値がさのハイテク株や半導体関連株に売りが出て、指数を押し下げた。下げ幅は一時250円に迫った。
外国為替市場ではドルが買われ、1ドル=134円近くまで円安が進んだことはポジティブ材料だが、輸出セクターがこれを好感するような動きもみられない。日経平均は一時250円程度下押す場面があったが、米株価指数先物が堅調な値動きを示すのを横目に売り一巡後は下げ渋っている。
日銀が朝方、金融緩和策を修正した12月19~20日開催分の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。市場関係者からはおおむね黒田東彦総裁の説明と変わらない内容との受け止めがある半面、一部では日銀のさらなる緩和策修正を見込む声も聞かれた。
売り一巡後は下げ渋った。日経平均が今週に入ってからの戻りを打ち消されると、割安感があるとみて個人投資家などの買いが入った。厚生労働省が新型コロナウイルスの感染症法上の分類について2023年春にも5類に変更する検討に入ったと伝わったことも、経済活動の正常化期待で一定の支えになったようだ。
景気後退懸念が強まる中、中国経済の正常化は本来歓迎すべきことだが、インフレ再燃を通じて企業コストの高止まりないしは増加、また各国中央銀行による金融引き締めの長期化の可能性が高くなるということで、中国経済の再開には大きな副作用が伴うということになる。株式市場は景気後退懸念とインフレ懸念の板挟み状態にあるということだ。
こうした懸念を払拭するには時間がかかると思われ、株式市場が底入れして本格的な上昇トレンドを描くまでには我慢の時間を長く強いられそうだ。当面は引き続き国内経済の回復の恩恵を享受できるリオープン・インバウンド関連や、高配当のディフェンシブ銘柄などに相対的な妙味があると考える。
東証株価指数(TOPIX)は反落した。午前終値は前日比5.42ポイント(0.28%)安の1904.73だった。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆1955億円、売買高は5億4440万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1199と、全体の6割を超えた。値上がりは546銘柄、変わらずは92銘柄だった。
業種別株価指数(全33業種)では不動産業、空運業、鉱業などが下落した。上昇は電気・ガス業、保険業、銀行業など。
個別ではレーザーテックが売られたほか、東京エレクトロン、アドバンテストも下落するなど半導体関連株の軟調が目立つ。太陽誘電、ファーストリテイリング、メルカリなども安い。ソフトバンクグループ(SBG)やZHDも売りに押された。アイスタイルが大幅安、スギホールディングスは値下がり率トップに売られた。
半面、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクが堅調、オリエンタルランドも買いが優勢だった。日本製鉄もしっかり。ピックルスホールディングスが急伸、ソースネクスト、東ガス、大ガスが、日立造、IHIが高い。
