NYダウ反落365ドル安、中国の新型コロナ拡大懸念

28日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比365ドル85セント(1.1%)安の3万2875ドル71セントで終えた。

前日の市場では、中国政府による新型コロナ対策緩和を好感し、米株価は上昇したが、その後、中国では新型コロナ感染者数が急増し、医療機関が逼迫(ひっぱく)していると伝わり、投資家心理が悪化。中国からの渡航者を対象にした水際対策を導入する国も相次ぎ、経済活動の本格再開には時間が掛かるとの懸念が広がった。

米長期金利の上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株に相対的な割高感を意識した売りが出た。中国での新型コロナウイルスの感染拡大が伝わったのも投資家心理を冷やし、相場を押し下げた。

ナスダック総合株価指数は続落し、前日比139.938ポイント(1.4%)安の1万0213.288で終えた。10月14日に付けた年初来安値を更新した。

米長期金利が3.87%と前日終値(3.84%)から上昇し、ハイテク株売りを誘った。スマートフォンのアップルは3%安とダウ平均構成銘柄で下落率が最大で「最優良銘柄の下落は相場の先安観につながり、投資家心理を冷やした」という。

アップルは中国の新型コロナウイルスの感染拡大で、iPhone(iアイフォーン)の中国生産が停滞すると懸念されたのも売り材料だった。中国政府は26日に新型コロナウイルス規制の追加緩和策として入国者の強制隔離の撤廃などを発表したが、28日にはコロナ感染が深刻化していると報じられた。

市場では中国経済の回復には時間がかかるとの懸念が強まっている。「欧米の金融引き締めの長期化と併せて、世界景気への警戒感が高まり、株式の買い持ちを手じまう動きが広がった」という。

ダウ平均構成銘柄ではアップル以外にも中国の生産や販売の比率が高い銘柄が売られ、スポーツ用品のナイキ、化学のダウが安い。映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連株の下げも目立った。


【シカゴ日本株先物概況】

28日のシカゴ日経平均先物は続落した。2023年3月物は前日比180円安の2万6030円で引けた。中国の新型コロナウイルス感染拡大が伝わったことで、世界的な景気後退への懸念が強まった。同日の米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。

 
 
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26030 ( -200 )
 
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26055 ( -175 )
 
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7497.19(+24.18)

28日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前営業日の23日に比べ24.18ポイント(0.32%)高の7497.19で引けた。中国政府が新型コロナウイルスの規制緩和を進めるなか、同国の経済再開への期待が相場を支えた。

個別では、指数構成銘柄の7割が上昇。産銅大手アントファガスタが2.8%高とけん引し、産金大手フレスニロが2.2%高、小売大手JDスポーツファッションも2.2%高となった。一方、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは4.4%安と大きく売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13925.60(-69.50)

28日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落し、前日に比べ69.50ポイント(0.50%)安の1万3925.60で終えた。欧州中央銀行(ECB)の金融引き締め継続が景気悪化を招くとの懸念が強い。自動車や日用品など消費財銘柄に売りが出た。

個別では、製薬会社サルトリアスが2.0%高、分子診断大手キアゲンが0.9%高、不動産大手ボノビアが0.7%高と買われた半面、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの持ち株会社ポルシェSEが1.6%安、半導体大手インフィニオンとエネルギー大手シーメンス・エナジーが1.5%安となった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 6510.49(-40.17)

フランスCAC40種指数は0.61%安だった。エネルギー株などが重しとなり、マイナス圏で取引を終えた。

 

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