29日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比345ドル09セント(1.0%)高の3万3220ドル80セントで終えた。米長期金利の上昇が一服し、このところ売られていたハイテク株や消費関連株の買い直しが優勢となった。
米労働省が朝方発表した週間の新規失業保険申請件数は、22万5000件となり、前週から9000件増加した。労働市場の逼迫(ひっぱく)が緩和していることを示していると受け止められ、FRBによる利上げ長期化観測が後退した。
長期金利は利上げの長期化観測から上昇が続き、前日に11月中旬以来の高水準を付けたが、29日は前日終値を下回る場面が目立った。金利上昇局面で相対的な割高感から売られていた高PER(株価収益率)のハイテク株に押し目買いが入り、顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップル、ソフトウエアのマイクロソフトが上昇した。
ハイテク株がそろって買われ、投資家心理がやや上向いた。中国での新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、足元で下げていた消費関連株にも買いが広がった。前日に2020年3月以来の安値を付けていた映画・娯楽のウォルト・ディズニーが大きく上げ、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスやスポーツ用品のナイキが買われた。
ダウ平均の上げ幅は午後に417ドルに達する場面があった。年末前で休暇を取る市場関係者が多く、薄商いで値動きが大きくなりやすかった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比264.799ポイント(2.6%)高の1万0478.087で終えた。電気自動車のテスラが8%上げ、交流サイトのメタプラットフォームズも高い。前日まで下げが目立っていたエヌビディアなど半導体も総じて上げた。
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。2023年3月物は前日比240円高の2万6270円で引けた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化への懸念が後退し、反発した。米株式相場が上昇し、日経平均先物にも買いが及んだ。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26270 ( +290 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26300 ( +320 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7512.72(+15.53)
29日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ15.53ポイント(0.21%)高の7512.72で引けた。午前は売りが目立っていたが、29日の米株式相場が上昇して始まると投資家心理が好転した。もっとも、金利上昇や金融引き締めによる英景気懸念は根強く、上値は限られた。
指数構成銘柄の7割が上昇。
個別では、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストが3.7%高で上昇率首位となったほか、通信会社エアテル・アフリカが2.6%高、衣料小売り大手ネクストが1.7%高で続いた。一方、産銅大手アントファガスタは2.1%安、鉱業大手アングロ・アメリカンとたばこ大手インペリアル・ブランズは1.0%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14071.72(+146.12)
29日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日に比べ146.12ポイント(1.05%)高の1万4071.72で終えた。足元で上昇基調が続いていたドイツ長期金利が低下したのを好感し、ハイテク株や不動産株など金利敏感銘柄を中心に買い直された。29日の米株高も投資家心理を明るくした。
個別では、通販大手ザランドと製薬会社サルトリアスが4.1%高と急伸。自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの持ち株会社ポルシェSEとシーメンス・ヘルシニアーズも2.6%高と買われた。下げたのは航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズ(0.3%安)と素材化学大手コベストロ(0.2%安)の2銘柄のみだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6573.47(+62.98)
フランスCAC40種指数は0.97%高だった。労働市場の弱さを示す内容と受け止められ、米利上げ長期化観測が後退する中、米株高を眺めて欧州株にも買いが入った。
