10日の米株式市場は大幅反発し、NYダウ工業株30種平均は前日比1201ドル43セント(3.7%)高の3万3715ドル37セントと8月中旬以来の高値で終えた。2020年4月以来の上げ幅。
米労働省が朝方発表した10月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.7%上昇、前月比では0.4%上昇と、いずれも市場予想を下回った。
市場では、「インフレがピークアウトしたとの期待を後押しする内容」と受け止められ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを減速させるとの見方が急拡大した。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げ幅が0.5%に縮小するとの観測が強まった。米債券市場では長期金利が低下し、一時4%を下回った。
10月のCPIはエネルギー・食品を除くコア指数が前年同月比6.3%上昇と伸びが9月(6.6%)から減速し、市場予想(6.5%)を下回った。利上げ減速で米景気の過度の悪化が免れるとの見方も投資家心理を支えた。
金利低下で相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株などを中心に買いが広がった。外国為替市場でドルが急落したのも海外売上高の大きいハイテク株の買い安心感につながった。米国株の底入れが近いとの見方も押し目買いを誘った。
顧客情報管理のセールスフォースやソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルなどが大幅上昇した。インフレが消費を冷やすとの懸念が和らぎ、ホームセンターのホーム・デポやスポーツ用品のナイキなど消費関連銘柄の上げも目立った。
ナスダック総合株価指数は急反発し、前日比760.972ポイント(7.4%)高の1万1114.147で終えた。上昇率としては20年3月以来の大きさだった。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、半導体のエヌビディアなどが急伸した。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は反発した。12月物は前日比455円高の2万7975円で引けた。10月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したのを好感し、急反発した。米株式相場が大きく反発し、日経平均先物にも買いが波及した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
27975 ( +545 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
27975 ( +545 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7375.34(+79.09)
10日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ79.09ポイント(1.08%)高の7375.34で引けた。米利上げペースの減速期待を背景に10日の米株式相場が大幅に上昇し、投資家心理が改善した。
個別では、指数構成銘柄の8割超が上昇。医療機器会社コンバテックが9.0%高と上昇率トップだった。この日に決算を発表したアストラゼネカは2.9%高。石油大手シェル(2.9%安)や同BP(2.4%安)はさえなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14146.09(+479.77)
10日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に反発した。前日に比べ479.77ポイント(3.51%)高の1万4146.09と、5カ月ぶりの高値で終えた。10日発表の米消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースが減速するとの期待が強まった。10日の米株高も投資家心理を改善させた。
個別では、通販大手ザランドが13.8%高と急伸。エネルギー大手シーメンス・エナジー(8.2%高)や医療機器のザルトリウス(8.0%高)も買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6556.83(+126.26)
フランスCAC40種指数は1.96%高だった。
