16日午前の日経平均株価は反落し、前日比34円32銭(0.12%)安の2万7955円85銭で終えた。
ロシアを巡る地政学リスクの高まりから運用リスクを回避する売りが出て、2万8000円も割り込んだが、前引けにかけては急速な下げ渋りで下値の堅さを確認した。日経平均先物に買い戻しが入って下げ幅を急速に縮めた。
ロシア製ミサイルがウクライナ隣国のポーランドに着弾し、死者が出たと日本時間16日未明に伝わった。ポーランドが北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり、ロシアと欧米諸国の一段の関係悪化への警戒が強まって幅広い銘柄に売りが出た。
ただ、バイデン米大統領がミサイルについて「ロシア側から発射された可能性は低い」と述べたと伝わると、米株価指数先物が下げ幅を縮め、日経平均先物にも買い戻しが入った。
16日午前には、米共和党のトランプ前大統領が2024年の次期大統領選への出馬を表明した。市場では「富裕層や大企業に厳しいバイデン米大統領の姿勢からの転換につながるとの期待があるようだ」との声があった。
日本株の需給環境は悪くないだろう。一時大幅に積み上がり、株価の重石となっていた裁定買い残については解消が進んだ。東京証券取引所が9日に発表した4日時点での裁定取引に係る現物ポジションは、ネットベースで15.77億円の売り越しとなり、ついに買い越しから売り越しに転じた。米国株が戻り基調を続ける限り、日本株も当面は上昇しやすい環境になったといえるだろう。
