3日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに大幅反発し、前週末比765ドル38セント(2.7%)高の2万9490ドル89セントで終えた。
この日は、前週末に4%に迫った米長期金利が一転、3.6%台に低下。ダウ平均は上昇して取引が始まった。前月に大幅下落した反動もあり、買いが優勢な展開となった。特に、金利低下局面では、相対的な割高感が薄れ買われやすいハイテク株が大きく伸び、相場をけん引した。
米サプライ管理協会(ISM)が午前に発表した9月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)は50.9に低下。新型コロナウイルス危機だった2020年5月以来の低水準となり、市場予想も下回った。市場では、PMIの悪化により「FRBの利上げペースが緩む可能性を示唆している」(米銀エコノミスト)との声が上がり、金融引き締めへの警戒感が緩和したことも買い材料となった。
英政府が3日に所得税の最高税率を引き下げる案を撤回すると表明し、同国の財務悪化に対する懸念が和らいだ。週末には欧州金融大手のクレディ・スイスの財務不安説が報じられた。金融市場の不安定化リスクに配慮し、米欧の主要中央銀行が利上げペースを緩めるとの思惑が浮上した。「実現すれば絶好の買い場になるとみた一部の投資家が買いを入れた」という。
ダウ平均は920ドルあまり上げる場面があった。9月は月間の下げ幅が20年3月以来の大きさとなっていた。短期間に売られすぎとの見方が強まっていたため、自律反発を期待した買いが入った。相場が急速に上げ幅を拡大し、売り持ちを整理する動きも強まった。
米原油先物相場の上昇を受け、石油のシェブロンが大幅上昇した。建機のキャタピラーなどの景気敏感株やクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど消費関連株への買いも目立った。長期金利の低下で相対的な割高感が和らいだ高PER(株価収益率)のハイテク株も買われた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比239.816ポイント(2.3%)高の1万0815.435で終えた。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフト、検索サイトのアルファベットなど主要ハイテク株が全般に上昇した。一方、2日に発表した22年7~9月期の世界の電気自動車の販売台数が市場予想に届かなかったテスラは大幅安で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は反発した。12月物は前週末比665円高の2万6595円で引けた。
米長期金利の低下を好感し、反発した。同日の米株式相場が大きく上昇したことで、日経平均先物にも買いが波及した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
26595 ( +365 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
26605 ( +375 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6908.76(+14.95)
3日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前週末に比べ14.95ポイント(0.22%)高の6908.76で引けた。クワーテング英財務相が3日、所得税の最高税率の引き下げ案撤回を表明したのを好感し、英財政の悪化懸念がひとまず和らいだ。
FTSEでは、指数構成銘柄の7割弱が上昇。通信大手BTグループが4.4%高で上昇率トップとなったほか、産金大手フレスニロが3.8%高、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールが3.7%高で続いた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12209.48(+95.12)
3日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。前週末に比べ95.12ポイント(0.79%)高の1万2209.48で終えた。ユーロ圏の景気後退懸念の強まりを背景にドイツ長期金利が低下した。金利低下を好感し、株式には買いが優勢だった。
DAXでは、製薬会社サルトリアスが5.4%高と急伸。化学大手BASFは3.4%高、素材化学大手コベストロも3.3%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5794.15(+31.81)
フランスCAC40種指数は0.55%高だった。
景気後退観測が広がる中、各国の中央銀行による利上げペースが和らぐとの見方から株式に買いが入った。
