19日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比99ドル99セント(0.3%)安の3万0423ドル81セントで終えた。
米長期金利が2008年7月以来の高水準を付け、株式の割高感が意識された。半面、市場予想を上回る決算を発表した銘柄には買いが入り、ダウ平均を下支えした面もあった。
この日早朝に発表されたダウ構成銘柄のトラベラーズとプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の四半期決算は市場予想を上回る内容。両社がダウをけん引し、取引序盤は強含みの展開となった。だが、米長期金利上昇を受けて割高感が意識されやすいハイテク株などに売りが広がり、ダウは取引中盤にマイナス圏に沈んだ。
長期金利は一時、前日比0.12%高い4.13%を付けた。19日発表の英国の9月の消費者物価指数(CPI)が高い伸びとなり、欧米の中央銀行による積極的な金融引き締めが続くとの見方が強まった。
前日までの2日間でダウ平均は890ドル近く上昇していた。19日の市場では「景気後退懸念など投資環境に変化はなく、米長期金利の上昇をきっかけに目先の利益を確定する売りが出た」との声が聞かれた。
午前に明らかにされた9月の住宅着工件数は前月比8.1%減少し、住宅市場の冷え込みを示す内容となったが、相場への影響は限定的だった。
先週後半から買われていた金融株が利益確定売りに押された。JPモルガン・チェースは2%安で終えた。ホームセンターのホーム・デポやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど消費関連株の下げも目立った。長期金利が上昇すると売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株では、ソフトウエアのマイクロソフトが1%安で終えた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比91.894ポイント(0.9%)安の1万0680.508で終えた。ネット検索のアルファベットやネット通販のアマゾン・ドット・コムが売られた。
前日夕に発表した決算で売上高や有料契約者数が市場予想を上回った動画配信のネットフリックスは13%高と急伸した。
【シカゴ日本株先物概況】
19日のシカゴ日経平均先物は反落した。12月物は前日比60円安の2万7035円で引けた。企業決算を好感した買いに寄り付き後、上昇。その後、長期金利の上昇で警戒感が再燃し、下落に転じた。引けにかけて金利が一段と上昇すると、主要株式指数も一段安となり終了。同日の米株式相場が下落し、日経平均先物に売りが波及した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
27035 ( -195 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
27030 ( -200 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6924.99(-11.75)
19日のFTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日に比べ11.75ポイント(0.17%)安の6924.99で引けた。19日発表の9月の英消費者物価指数の上昇率が前年同月比10.1%と前月から加速した。高インフレと金融引き締め継続に加え、英財政支援策の縮小で、英景気の後退が深刻化するとの懸念が投資家心理を押し下げた。
FTSEでは、構成銘柄の約7割が下落。ホームセンター大手キングフィッシャーが5.9%安と下落率が最も大きく、不動産大手セグロと金融大手ロイズ・バンキング・グループが4.7%安で続いた。一方、石油大手BPは2.2%高、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は1.9%高。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12741.41(-24.20)
19日のドイツ株価指数(DAX)は5営業日ぶりに反落した。前日に比べ24.20ポイント(0.19%)安の1万2741.41で終えた。高インフレと欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締め継続によるドイツ景気への悪影響を警戒した売りが出た。
DAXでは、製薬会社サルトリアスが18.5%安と急落。医薬大手メルクが4.5%安、分子診断大手キアゲンが4.1%安、スポーツ用品大手プーマが2.8%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6040.72(-26.28)
フランスCAC40種指数は0.43%安だった。
インフレの高止まりを背景に主要中央銀行が大幅な利上げを続けるとの見方が広がり、株価の重しとなった。
