NYダウ続落、米長期金利上昇を嫌気

20日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比90ドル22セント(0.3%)安の3万0333ドル59セントで終えた。米長期金利が連日で14年ぶりの水準に上昇し、株式の割高感が意識された。ただ、市場予想を上回る決算を発表した銘柄が買われ、ダウ平均は上げる場面もあった。

 
米主要企業の7~9月期決算発表が本格化する中、米コンピューターサービス大手IBMが前日の取引終了後に市場予想を上回る決算を公表。同社など一部好決算を受けて米企業業績の先行きに楽観的な見方が広がり、取引序盤のダウは買いが先行した。ダウ平均は400ドル近く上昇する場面があった。
 
ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げが懸念される中、長期金利が上昇幅を拡大すると、前日と同様、売りが優勢となって取引中盤にマイナス圏に沈んだ。その後は軟調に推移したが、「決算自体の内容は良い」との見方も出る中、底堅い値動きが続いた。
長期金利は4.2%台(前日終値は4.13%)と2008年以来の水準に上昇した。インフレの高止まりを受けて米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの見方が強まった。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は20日の講演で「インフレ抑制の進展の遅さに失望しており、しばらくは利上げを続ける」と述べた。
 
外国為替市場でドルが対円で32年ぶりに1ドル=150円台に乗せ、ドル高への警戒感も強まった。
ホームセンターのホーム・デポなど消費関連、建機のキャタピラーなど景気敏感株の一角が売られた。金利上昇で配当利回り狙いの株の投資妙味が低下するとして、公益サービス株などにも売りが広がった。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比65.664ポイント(0.6%)安の1万0614.844で終えた。19日夕発表の決算で売上高が市場予想に届かなかった電気自動車のテスラが大幅下落した。
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

20日のシカゴ日経平均先物は続落した。12月物は前日比15円安の2万7020円で引けた。
利上げ観測がさらに強まると、長期金利の上昇を警戒した売りに押され、下落に転じ、主要株式指数は結局、下落で終了。
同日の米株式相場が下落し、日経平均先物に売りが波及した。

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
27020 ( +20 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
27005 ( +5 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6943.91(+18.92)
20日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ18.92ポイント(0.27%)高の6943.91で引けた。商品相場の持ち直しを背景に、資源株やエネルギー株が買われた。英トラス首相が20日に辞任を表明し、政治混乱が長引くことへの警戒感が後退した。
FTSEでは、構成銘柄の約6割が上昇。産金大手フレスニロが4.0%高で上昇率トップとなったほか、同業エンデバー・マイニングと金融大手ロイズ・バンキング・グループが3.5%高と買われた。一方で通信株が売られ、ボーダフォンは2.4%安、BTグループは1.8%安だった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12767.41(+26.00)
20日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ26.00ポイント(0.20%)高の1万2767.41で終えた。20日の米株式相場が上昇して始まったことが買い安心感につながった。英国のトラス首相が20日に辞任を表明し、英国の政治混乱が長引くことへの警戒感が後退したのも、投資家心理を支えた。
DAXでは、医療機器大手シーメンス・ヘルシニアーズが4.1%高、製薬会社サルトリアスが3.7%高、不動産大手ボノビアが3.1%高となった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 6086.90(+46.18)
フランスCAC40種指数は0.76%高だった。
財源の裏付けのない大型減税策を発表して金融市場の動揺を招いたトラス英首相の辞任表明を受け、投資家の間で混乱収束への期待が高まった。
 

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