14日のNYダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比142ドル62セント(0.5%)安の3万0630ドル17セントで終えた。
インフレ指標の上振れが続き、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを続けるとみる売りが出た。ダウ平均は一時600ドル超下げたが、主要企業の決算発表を見極めたい投資家による持ち高調整の買いが入り、下げ渋って終えた。
前日の6月の米消費者物価指数に続き、14日朝発表の6月の米卸売物価指数も前月比1.1%上昇と市場予想(0.8%上昇)を上回った。FRBが7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1%の利上げを決めるとの観測がくすぶり、急速な金融引き締めが景気を冷やすとみた売りが先行した。
ただ、ダウ平均は午前中に安値を付けた後、取引終了にかけて下げ渋る展開だった。米主要企業の2022年4~6月期決算の発表シーズンが14日に金融大手から始まった。市場では「米株相場は足元で下げが続いたため、決算内容を見極めたい投資家が持ち高調整の買いを入れた」との指摘があった。
朝方に米原油先物相場が大幅に下げ、一時は5カ月ぶりの安値をつけた。「商品先物相場が水準を切り下げたことでインフレがピークアウトするとの観測が浮上し、アップルなど優良銘柄を中心に買い直された」との声もあった。
個別では、朝方に大幅な減益決算を発表した銀行のJPモルガン・チェースが3%下落し、金融のゴールドマン・サックスもつれて下げた。建機のキャタピラーや化学のダウなど景気敏感株の一角も安い。半面、スマートフォンのアップルは2%高で終えた。航空機のボーイング、半導体のインテルも高い。
ナスダック総合株価指数は小幅に4営業日ぶりに反発し、前日比3.603ポイント(0.03%)高の1万1251.185で終えた。半導体受託生産の台湾積体電路製造(TSMC)の好決算を受け、エヌビディアなど半導体銘柄が上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
30,630.17-142.62
S&P500種
3,790.38-11.40
ナスダック
11,251.185+3.603
FTウィルシャー5000
38,438.54-151.43
NY金(ドル/トロイオンス)
1,705.80-29.70
NY原油(ドル/バレル)
96.20+0.42
円・ドル
139.07 – 139.10-0.02
【シカゴ日本株先物概況】
14日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比215円高の2万6700円で引け、14日の大取終値と並んだ。
この日の米株式市場で、JPモルガン・チェース(JPM)のダイモン最高経営責任者(CEO)が四半期決算発表後の電話会見で複数の深刻な問題があると警告したことも売り材料となり、終日軟調推移。その後、FRBのウォラー理事が市場の1%利上げの憶測は時期尚早との見解を示し金利が低下するとハイテク中心に買戻しが広がった。ダウは下げ幅を縮小、ナスダック総合指数はプラス圏で終了した。
ナスダック総合株価指数が反発し、日経平均先物の買いを支えた。円安も支援材料だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26700 ( 0 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26740 ( +40 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7039.81(-116.56)
14日のFTSE100種総合株価指数は続落し、前日に比べ116.56ポイント(1.63%)安の7039.81で引けた。主要国の中央銀行の金融引き締めが世界的な景気悪化を招くとの懸念から、商品相場が下落し、資源やエネルギー株に売りが出た。米金融大手が14日発表した2022年4~6月期決算が大幅減益となったのを受け、銀行株に売りが波及した。
FTSEでは、自動車保険大手アドミラル・グループが18.1%安と下落率トップ。指数構成銘柄の8割がマイナスだった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12519.66(-236.66)
14日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ236.66ポイント(1.86%)安の1万2519.66で終えた。米欧など主要な中央銀行が金融引き締めを加速させるとの見方から、世界的な景気悪化懸念が強まった。金融株や自動車株など幅広いセクターに売りが出た。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5915.41(-84.83)
フランスCAC40種指数は1.41%安だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに踏み切るとの観測が広がり、株価の重しとなった。この日の米国株が取引序盤に急落したことも、欧州株の一段安を誘った。
