21日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸した。前日比162ドル06セント(0.5%)高の3万2036ドル90セントと6月9日以来、1カ月半ぶりの高値で終えた。
欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、物価高騰抑制に向けて0.5%の大幅利上げを決定し、景気の先行きをめぐる懸念が広がった。また、コンファレンス・ボードの景気先行指数など、朝方発表された米経済指標が低調な内容となり、午前のダウは総じて軟調に推移した。
ただ、売り一巡後は長期金利低下を眺めてハイテク株に買いが強まり、ダウは取引中盤にプラス圏に浮上。前日終値近辺でもみ合った後、終盤には上げ幅を拡大した。来週予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)のほか、米IT大手の決算公表を控えて様子見の動きが出る中、上値も重かった。
米長期金利は一時、前日比0.12%低い(債券価格は高い)2.90%前後まで低下した。金利が上昇すると割高感が意識されやすいハイテク株の買いにつながった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、20日夕に発表した四半期決算が好感された電気自動車のテスラが10%高で終えた。来週に集中する主力ハイテク株の決算発表でも市場予想を上回る内容を期待した買いを誘った。
スマートフォンのアップルと顧客情報管理のセールスフォースが2%近く上げ、ソフトウエアのマイクロソフトも高い。連日で受注関連の発表が相次いだ航空機のボーイングも買われた。金融のゴールドマン・サックスやクレジットカードのビザ、機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株の一角も高い。
午前中にダウ平均は前日比340ドル安となる場面もあった。前日までの続伸で800ドルほど上昇し、目先の利益を確定する売りが出た。21日に発表した四半期決算で原材料費などの上昇が利益を圧迫した化学のダウが2%安で終えた。通信のベライゾン・コミュニケーションズが3%安となるなどディフェンシブ株には売りが出た。外食のマクドナルドやバイオ製薬のアムジェンも下げた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比161.958ポイント(1.4%)高の1万2059.609で終えた。1カ月半ぶりに1万2000台を回復した。ネット通販のアマゾン・ドット・コムやクアルコムなど半導体関連株が買われた。動画配信のネットフリックスは3%高で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
9月物は前日比290円高の2万7865円で引け、21日の大取終値を85円上回った。
この日の市場で企業の好決算や長期金利の低下を受けて米株が上げ、日経平均先物に買いが波及した。
日銀が21日の金融政策決定会合で緩和政策の維持を決めたことも支援材料だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27865 ( +85 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27900 ( +120 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7270.51(+6.20)
21日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反発し、前日に比べ6.20ポイント(0.09%)高の7270.51で引けた。前日に売られていた銀行や保険などの金融株に買いが入った。
FTSEでは、好決算を発表したシステムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリーが4.2%高と上昇率でトップ。一方、動物用医薬品のデクラ・ファーマシューティカルズは、米社の買収資金調達に向けた新規発行増資が嫌気され、3.0%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13246.64(-35.34)
21日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ35.34ポイント(0.27%)安の1万3246.64で終えた。欧州中央銀行(ECB)が21日の理事会で0.5%の大幅な利上げを決めた。高インフレ抑制のため、積極的な利上げが続くとの見方から、欧州景気の冷え込みを警戒した売りが出た。ただ、ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」が21日に定期点検を終え、供給を再開したことは投資家心理を支え、指数の下げ幅は限られた。
DAXでは、業績見通しを下方修正した食材宅配大手ハローフレッシュが前日に続いて急落し、14.0%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6201.11(+16.45)
フランスCAC40種指数は0.27%高だった。
欧州中央銀行(ECB)が予想を上回る利上げでマイナス金利脱却したため上値が抑制された。
