10日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比880ドル00セント(2.7%)安の3万1392ドル79セントで終えた。
米労働省が朝方発表した5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇、前月比でも1.0%上昇し、前月から伸びが加速。市場予想も上回った。ロシアのウクライナ侵攻を背景にしたエネルギー価格に加え、宿泊や航空券などサービス価格も含む幅広い分野で物価が上がっている現状を裏付けた。
インフレ加速を背景に米連邦準備理事会(FRB)が秋以降も積極的な利上げを進めるとの見方が強まり、景気が冷え込むとの警戒感から幅広い銘柄に売りが膨らんだ。
ダウ平均は2週連続で下落し、週間の下げ幅は1506ドル(4.6%)だった。下落幅、率ともに1月21日までの週(1646ドル安、4.6%安)以来の大きさだった。
CPIは前年同月比8.6%上昇と4月(8.3%)から伸びが加速し、同月と同じ上昇率を見込んでいた市場予想を上回った。物価の基調をはかる上で重視される前月比でも1.0%上昇と4月(0.3%)から加速し、市場予想(0.7%)を上回った。インフレがピークアウトしたとの見方を打ち消す結果と受け止められた。
市場では、6月と7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍にあたる0.5%の利上げが決まるとの見方が多い。CPIの結果を受けて「9月も0.5%の利上げに動く」(アムハースト・ピアポントのスティーブン・スタンリー氏)との見方が強まった。バークレイズなど一部金融機関は6月のFOMCで0.75%の利上げを予想するなど、金融引き締めペースの加速への懸念が強まった。
米ミシガン大学が10日発表した6月の消費者態度指数は2カ月連続で低下し、統計開始以来で最低となった。インフレ懸念で消費者景況感が急激に悪化した。インフレが消費を冷やすとの見方からクレジットカードのアメリカン・エキスプレスや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、ホームセンターのホーム・デポなど消費関連株が下げた。積極的な金融引き締めが景気減速につながるとの見方から化学のダウや航空機のボーイングなど景気敏感株も売られた。金融のゴールドマン・サックスは6%安となり、過去1年(52週)の安値を更新した。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前日比414.202ポイント(3.5%)安の1万1340.024で終えた。半導体のエヌビディアやネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株が軒並み下げた。
ナスダック指数は2週連続で下落し、週間の下げ幅は672ポイント(5.6%)だった。下落幅、率ともに1月21日までの週(1124ポイント安、7.6%安)以来の大きさだった。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,392.79-880.00
S&P500種
3,900.86-116.96
ナスダック
11,340.024-414.202
FTウィルシャー5000
39,612.29-1,207.89
NY金(ドル/トロイオンス)
1,875.50+22.70
NY原油(ドル/バレル)
120.47-1.04
円・ドル
134.41 – 134.43+0.94
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は続落した。
9月物は前日比585円安の2万7325円で引け、10日の大取終値を525円下回った。10日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ加速を示し、大幅利上げの継続を警戒する売りが出た。9月物は一時2万7250円まで下げた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27325 ( -525 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27390 ( -460 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日のFTSE100種総合株価指数は大幅に4日続落した。前日に比べ158.69ポイント(2.12%)安の7317.52で引けた。10日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回った。インフレ高進から米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを進めるとの見方が強まり、投資家心理を冷やした。欧州中央銀行(ECB)が9日に、7月からの利上げ開始を予告したほか、イングランド銀行(英中央銀行)はすでに利上げに着手している。主要中銀の引き締め加速が経済成長に悪影響を及ぼすとの見方が広がった。
個別銘柄を見ると、英鉱業大手アングロ・アメリカンが7.5%の大幅安、スイス資源大手グレンコアも5.2%安となるなど、資源株が下落を主導した。また、英金融大手バークレイズ(3.7%安)などの金融株も緩んだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に4日続落した。前日に比べ436.97ポイント(3.08%)安の1万3761.83と、約1カ月ぶりの安値で終えた。10日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸び率となり、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが加速するとの観測が強まった。欧州中央銀行(ECB)も7月から利上げを開始する方針を示すなど、米欧中銀の積極的な利上げが欧州経済の減速を招くと懸念した売りが出た。
DAXではドイツ銀行が5.9%急落した。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は2.69%安となった。10日に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)が約40年ぶりの高い伸びとなったことで、世界的なインフレが景気を悪化させるとの懸念が強まった。
CACでも仏金融大手ソシエテ・ジェネラルが6.2%安とさえなかった。
