ダウ反発303ドル高、インフレ抑制の姿勢好感

 
15日のNYダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発し、前日比303ドル70セント(1.0%)高の3万0668ドル53セントで終えた。
 
米連邦準備理事会(FRB)はこの日最終日となる連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.75%の利上げを決定。記録的な物価高の抑制に向け、27年半ぶりとなる大幅な利上げに踏み切った。
0.75%の利上げが市場で織り込み済みだったことに加え、FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見に反応し、株価は上昇。パウエル氏は、次回7月の会合で「0.5%か0.75%の利上げを行う可能性が大きい」と発言した。また、0.75%の利上げ幅について、「異例の大きさであり、これが通常の対応になることはないだろう」と強調した。
 
市場では今週に入って0.75%利上げの観測が急速に広がっていた。「利上げ幅が0.5%ならインフレ加速を止められない懸念があったが、0.75%となったことでインフレ抑制の期待につながった」と指摘した。ダウ平均は前日までの5日間で2800ドルあまり下げていた。FOMC通過で材料が出尽くしたとみた買いが相場を押し上げた面も大きい。
 
このところ下げが目立っていたハイテク株や消費関連株の上昇が目立った。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース、スマートフォンのアップルが高い。スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーも買われた。高PER(株価収益率)のハイテク株は長期金利の低下も追い風となった。
 
ダウ平均の上げ幅はパウエル議長の記者会見後に一時647ドルに達したものの、引けにかけて伸び悩んだ。FOMC後に公表した政策金利見通しでは、年末の値は委員らの予想中央値で3.375%となり、前回3月から大幅に引き上げられた。景気をふかしも冷やしもしない中立金利を大幅に上回る水準まで引き上げ、景気を犠牲にしてでもインフレを抑え込む姿勢が示された。「景気後退に陥る可能性が高まった」との見方は相場の重荷となった。
 
市場では「FOMC後の上昇が相場の底打ちサインと判断するのは早計」との声もあった。ダウ平均の構成銘柄では化学のダウや工業製品・事務用品のスリーエム、建機のキャタピラーなど景気敏感株の一角は下げた。
 
ナスダック総合株価指数は続伸した。前日比270.810ポイント(2.5%)高の1万1099.155で終えた。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コム、半導体のエヌビディアなど主力株が軒並み上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
30,668.53+303.70
S&P500種
3,789.99+54.51
ナスダック
11,099.155+270.810
FTウィルシャー5000
38,431.14+574.21
NY金(ドル/トロイオンス)
1,819.60+6.10
NY原油(ドル/バレル)
115.99+0.68
円・ドル
134.05 – 134.07-0.65
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

15日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比90円高の2万6510円で引け、15日の大取終値を230円上回った。米連邦準備理事会(FRB)が15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の大幅利上げを決め、インフレ抑制への期待が広がった。パウエル議長が0.75%の利上げが異例であることを強調し金利がさらに低下するとハイテクの買いも強まった。シカゴ日経平均先物は米株とともに買われた。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26510 ( +230 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26570 ( +290 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7273.41(+85.95)
15日のFTSE100種総合株価指数は7営業日ぶりに反発した。前日に比べ85.95ポイント(1.20%)高の7273.41で引けた。ホテル・外食チェーン大手が2022年3~5月期の売り上げが好調だったと発表したことが投資家心理を明るくした。前日に売られていた消費関連株が買い直された。
個別銘柄を見ると、欧州航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が3.3%高とこわばり、英金融大手HSBCホールディングスも2.0%高と締まった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13485.29(+180.90)
15日のドイツ株価指数(DAX)は7営業日ぶりに反発した。前日に比べ180.90ポイント(1.36%)高の1万3485.29で終えた。欧州中央銀行(ECB)が15日、臨時の理事会を開き、ユーロ圏域内の一部の国債利回りの急上昇のリスクに対応することを決めた。欧州国債利回りが総じて低下しており、金利急上昇を通じた株式市場の不安定化が沈静化することを期待した買いが入った。
DAXではドイツ銀行が2.6%高と堅調となっている。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6030.13(+80.29)
フランスCAC40種指数は1.35%高となった。
欧州中央銀行(ECB)が臨時理事会を開き、債券市場の安定化策を決定。量的緩和策で買い入れた保有資産の再投資を柔軟に行うこととした。これを受け、イタリアやフランスなどで急上昇していた長期金利は低下。株式市場でも投資家心理が改善し、買いが先行した。
CACでは仏自動車大手ルノーが4.7%高と買われた。
 

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