16日のNYダウ工業株30種平均は大幅に反落し、前日比741ドル46セント(2.4%)安の2万9927ドル07セントで終えた。2020年12月以来の安値となる。
前日15日のダウは、米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75%の利上げ決定が市場で織り込み済みだったほか、14日までの5営業日での下げ幅が計2800ドルを超えていたため、安値拾いの買いも入って反発。だが、米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅な利上げで景気が急激に冷え込む事態への警戒感は根強く、この日は寄り付きから一気に売りが膨らみ、3万ドルの節目を下回った。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比453.056ポイント(4.1%)安の1万0646.099で終えた。S&P500種株価指数は反落し、終値は前日比123.22ポイント(3.3%)安の3666.77だった。ともに年初来安値を更新した。
FRBは22年末に3.25~3.5%まで政策金利を引き上げる見通しで、景気を冷やしもふかしもしない中立金利(2.5%)を大幅に上回る。市場では「大幅利上げはインフレ抑制より先に景気悪化を招く」との声が聞かれた。ダウ平均の下げ幅は一時928ドルに達した。
FOMCが開催された前日は大幅利上げがインフレ抑制につながるとの期待に加え、イベント通過でそれまでの売り持ち高を巻き戻す動きも出て上昇して終えた。だが、買い戻しは1日で終わった。16日はスイスと英国の中央銀行が相次ぎ利上げを発表し、来月には欧州中央銀行(ECB)も利上げを決める見通しで、欧米中銀の金融引き締めが世界景気を冷やすとの見方が台頭した。米経済を巡っては、朝方発表の5月の住宅着工件数が前月比14.4%減と大幅に落ち込んだのも景気懸念を招いた。
景気敏感株や消費関連株の下げが目立ち、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスとスポーツ用品のナイキが6%下落した。建機のキャタピラーと石油のシェブロンは5%下げた。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株も軒並み売られた。
一方、業績が景気に左右されにくいディフェンシブ株は底堅く推移し、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)と日用品・医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
29,927.07-741.46
S&P500種
3,666.77-123.22
ナスダック
10,646.099-453.056
FTウィルシャー5000
37,104.45-1,326.69
NY金(ドル/トロイオンス)
1,849.90+30.30
NY原油(ドル/バレル)
116.95-0.64
円・ドル132.67 – 132.69-1.55
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は大幅に反落した。9月物は前日比910円安の2万5600円で引け、16日の大取終値を830円下回った。利上げ加速による世界景気の悪化懸念が広がり、米株とともに売られた。米連邦準備理事会(FRB)が15日に大幅利上げを決めたほか、16日にスイスと英国の中央銀行が相次ぎ利上げを決めた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
25600 ( -830 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
25665 ( -765 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7044.98(-228.43)
16日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日に比べ228.43ポイント(3.14%)安の7044.98と、約3カ月ぶりの安値で引けた。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会が16日、5会合連続となる利上げ決定を発表した。高インフレは続いており、金融引き締めによる先行きの景気減速への懸念が株売りにつながった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13038.49(-446.80)
16日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に反落した。前日に比べ446.80ポイント(3.31%)安の1万3038.49と約3カ月ぶりの安値で終えた。前日に米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを決めたほか、16日は英国やスイスの中央銀行が利上げ決定を発表した。世界的に金融引き締めの動きが広がっており、長引くインフレとともに欧州経済の成長が不安視され、株式に売りが出た。DAXでは独総合電機大手シーメンスが6.1%安となった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5886.24(-143.89)
フランスCAC40種指数は2.39%安となった。
前日の米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げに続き、16日にはスイスと英国の中央銀行が利上げを決定。特にスイス中銀は大方の市場予想に反し、約15年ぶりに、しかも0.5%のサプライズ利上げとなった。これらを背景に景気減速懸念が強まった。
CACでは前日買われた仏自動車大手ルノーが6.8%安と売られた。
